2023 Fiscal Year Annual Research Report
多次元数系におけるdigitの漸近的挙動の解析に対する加法数論の応用
Project/Area Number |
19K03439
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 元 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (10706724)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一様分布論 / 数系 / シフト空間 / ディオファントス近似 / 記号力学系 / 等比数列 / ラグランジュスペクトラム / 線形回帰数列 |
Outline of Annual Research Achievements |
数列の小数部分の分布を調べることは一様分布論の重要な研究課題の一つである。特に等比数列の小数部分を研究することは、数のディオファントス近似の観点からも重要である。例えば、公比が10の場合、公比の小数部分を研究することは、実数の10進展開を調べることに他ならない。申請者は、一般に代数的数と関連のある線形回帰数列の小数部分の解析を、記号力学系の観点から行った。本研究について、ベルギーにおける国際研究集会Numeration2023および韓国におけるセミナーにおいて報告した。また、本研究に関して論文にまとめたものを、現在投稿中である。 また、片側シフト空間に関する一様分布論や力学系への応用をフランスにおいて研究した。特に、ラグランジュスペクトラムの類似を研究した結果、最小集積点をS-adic systemを用いて記述することに成功した。また、ラグランジュスペクトラムは従来両側シフト空間における研究対象であるが、片側シフト空間特有の現象を見つけることができた。本研究について、フランスのロレーヌ大学におけるセミナーや桐生市で行われた研究集会Diophantine Analysis and Related Fields 2024などで報告した。本研究に関して、成果をまとめたものが査読付国際共著論文として、受理された。本年度はラグランジュスペクトラムのinhomogeneous版についても、研究討議を行った。今後、inhomogeneous版のラグランジュスペクトラムの研究を、エルゴード理論の専門家とともに遂行する予定である。
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