2020 Fiscal Year Research-status Report
Application of cluster algebras to punctured Riemann surfaces and combinatorial representation theory
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19K03440
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 玲 (井上玲) 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30431901)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クラスター代数 / 量子群 / 表現論 / 非可換化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、量子群の表現のクラスター代数的構造、およびクラスター代数の非可換化に関する以下のような研究を行った。
(1) 昨年度の研究では、有限次元単純Lie環gと正整数mに対して周期的箙Q(g,m)を保つクラスター変異の列で、クラスターX、A変数の生成する有理関数体上に作用するワイル群を成すものを構成して論文にまとめた。今年度は、この論文の査読コメントを受けて修正する過程で、このワイル群作用のトロピカル化が、Chari-Mouraが2005年に導入したループ・ルート上への組み紐群作用と関係することを明らかにした。具体的には、我々のワイル群作用のトロピカル化を考え、その作用をトロピカルXシードの適当な部分集合に制限するとChari-Mouraの組み紐群作用に対応付けられる。修正した論文は受理され、Letters in Mathematical Physicsから出版された。 (2) Lam-Pylyavskyyによって2008年頃に導入されたネットワークの理論を非可換化を考察し、クラスター代数の新しい非可換化を構成する新たな研究を開始した。
出席を予定していたロシア、ポーランドでの研究集会がキャンセルや延期となり、国内の研究集会と数学会の会合もオンライン開催となったため、出張の予定は全て無くなった。11月にオンライン(Zoom)で開催された「2020年度表現論シンポジウム」に参加し、(1)の論文の内容について講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はCOVID-19の影響が甚大で、参加を予定していた研究集会がほぼ全てキャンセルまたは延期となり、対面による研究打ち合わせもできなかった。また、オンライン講義の準備等で研究に充てる時間が著しく減ってしまった。以上のように研究環境が大きく変わり、研究の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はクラスター代数の応用に関する研究を次のように進める予定である。
ワイル群の実現に関連した問題:箙Q(g,m)で正整数mを無限にして得られる無限箙 Q(g)は、2016年にHernandezとLeclercが量子群のq指標のクラスター代数的構造を調べたときに導入したものと本質的に同じである。今年度に引き続き、構成した周期的箙 Q(g,m)を保つワイル群作用の表現論的意味を考察する。さらに無限箙Q(g)の場合に、今回構成した作用を延長する可能性、およびq指標との関係を考察しようと考えている。
クラスター代数の新しい非可換化:Lam-Pylyavskyyによって2008年頃に導入されたネットワークの理論を非可換化し、クラスター代数の新しい非可換化を構成する。このネットワーク理論はクラスター代数の出自と関係する正値行列の座標と相性がよく、今後の進展を期待している。良いものが構成できたときは、既存の非可換化との関係や、応用を考察する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、出席予定だった研究集会が全てキャンセルまたは延期となったため旅費の使用が無かったため、次年度使用額が生じた。
この影響は今年度もしばらく続くと思われるので、研究を遂行するための情報収集や研究打ち合わせを行うインターネット関連機器を整備するために使用する予定である。状況が好転して出張が可能になったときには旅費にも使用しようと考えている。
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