On normal canonical surfaces and admissible singularities

2023 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K03446
• Research Institution: Kansai University
• Principal Investigator: 今野 一宏 関西大学, 総合情報学部, 教授 (10186869)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 一般型代数曲面 / 標準写像 / 正規特異点

Outline of Annual Research Achievements

複素数体上で定義された極小な非特異射影代数曲面は，標準写像が像（標準像）の上に双有理であるときに標準曲面であるという．本研究の目的は標準像が正規曲面であるような標準曲面の幾何学的な構造を，標準像がもつ特異点との関連で研究することにある．幾何種数４で標準像の次数が６であるようなものは申請者の研究でかなりの部分が明らかになっている．しかしvolume（標準束の自己交点数）が10と11になる例は知られておらず，その具体例を構成することが喫緊の課題になった．
最終年度は，正規な標準像をもつ幾何種数４の標準曲面で次数が７以上のものは存在しないだろうという予想を中心課題として研究を進めた．対数的宮岡型不等式を用いて，既知の結果を若干改良できたことが主な研究成果である．しかし，特異点を楕円型のみに限定しても７次の可能性を完全に否定することはできなかった．従って，予想は未解決のままである．
研究期間全体に渡って，２つのアプローチで正規標準曲面の構成を試みた．ひとつは，３次元射影空間の有理変換による特異曲面の像として標準像を構成する方法で，もうひとつは（有理）楕円曲面の２重被覆を変形して標準曲面を得る方法である．これらを用いて候補となり得る多くの曲面を構成することはできたが，最終的に上述の不変量をもつ正規標準曲面を得るには至らなかった．
新型コロナウイルスに起因する肺炎の流行によって，他の研究者と直接会って議論するという研究形態をとることは難しい状況が続いた．その欠点を補うために，Zoom等による遠隔開催のオンラインセミナーを全国の研究協力者と開催して議論を重ねるなど工夫した．2022年度後半からは状況が改善したため，かねてから行っている研究集会「代数曲面ワークショップ」を徳永浩雄氏（東京都立大）らと継続的に共催した．