Outline of Annual Research Achievements |
1999年にHallはハーディーのZ関数の導関数の二乗平均を求めた. その論文で, 得られた平均値定理について, Hall はその誤差項の改良を示唆している. これを実行することが, 本研究課題のひとつの目標であるが, 谷川好男氏と議論を積み重ね, 先ず, Z関数の導関数の近似式を精密にして, その結果を用いてZ関数の導関数の二乗平均定理について, Hallの示唆通りの誤差項を得ることができた. それらの成果をまとめた論文は受理された. また, その内容を2019年の日本数学会の秋季総合分科会で講演した. また, 以前の研究課題ではあるが, Debika Banerjee 氏, 谷川好男氏と取り組んだ2重ゼータ関数の評価についての二つの論文の掲載が決まった. 他に, 数論的関数の平均を求めるときに生じる誤差項の研究も本研究課題のひとつのテーマであるが, 1981年のJoshi, Vaidya の素数 p と互いに素な最大約数(自然数nの約数)の平均の誤差項の研究を二乗平均の場合に考えるという問題を中野実優氏(山口大), 古屋淳氏(浜松医科大)と取り組み, 誤差項のオメガ評価を得て, 日本数学会中国四国支部例会でその内容を発表した(講演者は中野氏). 関連する成果もあり, それをまとめた論文を現在投稿中である. さらに, 他の数論的関数の問題として, ヤコビの4平方数問題に起因する問題を考察し, 中国四国支部例会で講演した.これは整数の表現に関するいくつかの問題を含んでおり, まとまりがつかず, 論文執筆が遅れている. なるべく早く論文を完成させることが次年度の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の中心テーマの一つであるハーディー関数の導関数の二乗平均についての論文が完成したこと, 二重ゼータ関数の評価についての二つの論文掲載が決まったこと, そして, 約数問題に関連する問題について, 講演できたことで研究は進展していると思う. 論文執筆が課題である.
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