Outline of Annual Research Achievements |
解析整数論的誤差項の研究を行った. 特に, 二つの誤差項について, いくつかの成果を得た. (1) 自然数 k≧2 を固定する. Apostol は Pacific J. Math. (1970) で, メビウス関数の一般化 μ_{k}(n) を導入し, 1≦ n ≦ x である自然数 n についての和(μ_k(n)の平均)を求めた. その誤差項は, O(x^{1/k}log x) である. Riemann 予想の下で, この誤差項は Suryanarayana によって改良された (Pacific J. Math. 1977)が, デビカ・バネルジー氏 (IIIT, Delhi), 藤澤雄介氏, 谷川好男氏(名古屋大学)と議論し, Riemann 予想を使わなくても, ある程度 Apostol が得た誤差項を改良した. この成果を, 9月の日本数学会・秋季総合分科会(熊本大, オンライン)で発表した. 残念ながら,対面での研究打ち合わせが十分に行えず,論文投稿はまだである. (2) また, 自然数 n の約数のうち, k (square-free 整数に制限する) と互いに素であるものの最大数 δ_{k}(n) の二乗平均(n が 1≦n ≦x)の誤差項 E(x) について, E(n) の一乗平均などの結果を, 中野実優氏(山口大), 井川祥彰氏と得た. その成果は, 2021年3月の日本数学会・年会(慶応大, オンライン)で発表した. この成果については, 対面での研究打ち合わせがある程度でき, 論文にまとめることができた. 論文は現在, 投稿中である. (3) 他に, 2019年度に投稿した, k=p (素数)に限定した, δ_{p}(n) の二乗平均の誤差項についてのオメガ結果の論文(中野実優氏, 古屋淳氏(浜松医科大)との共著)が, Indian J. Pure Appl. Math. での掲載が決定した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大防止の為に, インドでの研究打ち合わせが出来ず, 論文の完成が遅れている. 2019年度に研究した, square-free 整数に対する約数問題についての論文, 2020年度の Apostol のメビウス関数についての論文(上述)について, 細部について共著者間での意見がまとまらない状態が続いている. また, 国内出張も制限されたため, 日本人同士でも対面での研究打ち合わせの時間が少なく, 研究が遅れている. 特に, 2019年度に行った, 合同条件付きの約数問題について, 2020年度は全く議論する余裕がなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
先ず, 論文の完成が遅れている square-free 整数についての約数問題(デビカ・バネルジー氏, 谷川好男氏との共同研究), Apostol のメビウス関数についての論文(デビカ・バネルジー氏, 藤澤雄介氏, 谷川好男氏との共同研究)を何とか完成させ, 投稿したい. また, 2020年度に投稿した, k と互いに素な最大約数の二乗平均の研究(中野実優氏, 井川祥彰氏との共同研究)を2021年度は, 高次べき平均に一般化し論文にまとめて投稿したい. また, 2019年度に取り組んだ合同条件付きの約数問題について, 今年度は研究打ち合わせの回数を増やして, 論文にまとめたい.
|