2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03450
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平野 幹 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (80314946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 義徳 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (00533035)
原本 博史 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (40511324)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 代数学 / 整数論 / グラフスペクトル論 / 有限対称空間 / 有限特殊関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、代数的に定義された有限正則グラフに対する明示的調和解析を整数論の観点で考察するための基礎的な考察を行った。とりわけ、関連する特殊関数に焦点を絞り、その有限型類似物について考察した。
有限体上の簡約可能群および関連する対称空間に付随する有限正則グラフ上の調和解析を整数論の観点で考察するためには、指数関数や超幾何型関数、ガンマ関数といった、通常の調和解析や整数論に現れる特殊関数の有限型類似物についての理解が不可欠である。これらの特殊関数の有限型類似物はこれまでにも豊富に考察されているが、今年度は特殊関数の有限体類似そのものではなく、有限体上の関数体類似について、これまでに得られている種々の成果について研究し、特殊関数の有限類似の在り方について理解を深めた。特殊関数の有限体上の関数体類似のうち最も根源的なもののひとつにカールリッツによる指数関数がある。指数関数はその冪級数による定義から微分との自然な関連を持つため、その観点からの有限的類似物を考察すること基本である。一方で、自然対数の底であるネイピア数の連分数展開の観点から指数関数の有限的類似物を超越数論的な考察により行うことも可能であり、その方向性についてのタークルの研究成果が豊富に存在する。この例に見るように、有限体上の関数体における特殊関数の類似物の研究成果には多面的かつ示唆に富み、我々の考察対象であるグラフ上の調和解析の整数論的考察の基礎をなす有限特殊関数についての多くの知見を与えるものであることが分かった。
今後は、これらの有限型特殊関数についての知見をさらに深めると同時に、これらを活用して有限体上の簡約可能群および関連する対称空間に付随する有限正則グラフ上の調和解析に現れる特殊関数の明示的研究を進めることに加え、今年度は扱うことが出来なかったラマヌジャングラフについても研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的かつ重要な特殊関数についての有限体上の関数体類似物についての知見を得たものの、本研究課題についての新たな研究成果は想定通りには得られていない。今後は今年得た知見の有限体上の調和解析への活用と、ラマヌジャングラフに対する先行研究の進展を目指すべきであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も有限体上の簡約可能群および関連する対称空間に付随する有限正則グラフ上の調和解析を整数論の観点で考察することについて、ラマヌジャン性および有限体上の特殊関数の二つの観点から研究を進め、問題の本質を見極めたいと思っている。
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Causes of Carryover |
今年度は予備的な研究に労力を割いたため、成果発表に係る活動が想定を下回った。 次年度はこれまで得てきた部分的成果をまとめ、専門家との意見交換および成果発表等を昨年度以上に実施する計画である。
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