2019 Fiscal Year Research-status Report
A Cartan decomposition, restricted roots and invariant measure of real spherical homogeneous spaces of reductive type
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19K03453
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
笹木 集夢 東海大学, 理学部, 准教授 (60514453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 可視的作用 / 簡約型実球等質空間 / カルタン分解 / 不変測度 / ハイゼンベルグ群 / ゲルファント対 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題の初年度だった2019年度は,次の成果を得ることができた. (1)井川治氏(京都工芸繊維大),馬場蔵人氏(東京理科大)との共同研究で得られた,非コンパクト半単純対称対と可換なコンパクト対称三対との間の双対性およびその一般論に関する論文が完成し投稿した(arXiv:2002.00896). (2)Ali Baklouti氏(Sfax大学)との共同研究により得られた複素ハイゼンベルグ等質空間に対する可視的作用の分類理論の応用として,ハイゼンベルグ群の準正則表現が無重複となるための必要十分条件を可視的作用によって与え,可視的作用におけるスライスの次元と無重複準正則表現のサポートの階数が一致することを発見した.本研究を論文にまとめ投稿した(arXiv:1911.03656). (3)既約な簡約型複素球等質空間の不変測度をコンパクト群のハール測度と可換部分のルベーグ測度によって明示的に表示することに成功した.特に,簡約型複素球等質空間の分解を与える微分同相写像のヤコビアンを制限ルートを用いて与えることができ,分類の各例に対して不変測度を具体的に表すレシピを発見した.不変測度の構成の鍵は前研究課題(課題番号15K04797)で完成した簡約型複素球等質空間に対するカルタン分解の明示的表示の研究手法である.なお,この結果により当初予定していた論文の執筆は不変測度を含む形でまとめることとした. (4)簡約型複素球等質空間に対する研究に引き続き,本研究で用いたアイディアを適用して簡約型実球等質空間に対するカルタン分解の研究が進展している.特に,既約な場合にすべての場合に完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)簡約型複素球等質空間の不変測度の研究について,既約の場合には完成に近づいている.この研究手法は可約な場合や簡約型実球等質空間に対しても有効であると期待している.この点については,当初の予定よりも大幅に進展している. (2)(1)に関連して簡約型実球等質空間に対するカルタン分解の研究の重要性が一層増している.本研究も既約な場合にはすでに完成しており,既約ではない場合もKnop-Krotz-Pecher-Schlichtkrullによる分類(18年)に沿って研究中である. (3)当初予定していた既約な簡約型複素球等質空間のカルタン分解の研究を論文にまとめる計画は,制限ルートや不変測度の研究成果を踏まえて公表することとした. (4)計画当初はカルタン分解に付随してワイル群の研究を行う予定だったが,それは不変測度の研究に必要と考えていたことによるものだったため,不変測度の研究が進展している現段階ではまだ未着手である.同様に,完全代表系の決定問題も未着手である. (5)ハイゼンベルグ群の可視的作用の研究に続く形で,ハイゼンベルグ型のゲルファント対に対する研究を始め,進展しつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)既約な簡約型複素球等質空間に対するカルタン分解および不変測度の研究に関して,直線型(3系列),非対称かつ階数1型(2種),ケーリー型(3種)についてさらに精緻な研究を遂行した上で,それぞれを論文に執筆する.また,4対称空間(2系列)に関する研究を同様に進める. (2)当初の研究計画に従い,既約でない簡約型実球等質空間に対するカルタン分解の研究を継続する.特に,簡約型実球等質空間のうち複素化が複素球にならない場合を重点的に研究する.さらに,【研究実績の概要】(3)で発見した不変測度を求めるレシピに従い既約な簡約型実球等質空間に対する不変測度を制限ルートを用いて明示的に表示する. (3)【研究実績の概要】(2)で述べたハイゼンベルグ群に対する研究の次のステップとして,2-ステップの冪零リー群に対する可視的作用の研究に取り組む計画である(Ali Baklouti氏との共同研究).別の方向性として,簡約ではないリー群のゲルファント対に対する可視的作用の研究を継続する.特に,ハイゼンベルグ型のゲルファント対に対する可視的作用の研究が進展中であるため,本対象に対する一般論を構築したい.
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Causes of Carryover |
2019年10月から2020年3月まで所属大学から特別研究期間を取得してドイツに長期研究滞在した.当該研究の応募当初から特別研究期間取得が決定していたためにそのための予算を計上していたが,渡航費,海外滞在費や研究費を大学からの予算で賄うことができたために,予定していた金額よりも使用額が下回った. 今回生じた助成金は論文作成および文献収集の整理のための印刷費,書籍購入費などに使用する計画である.
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Research Products
(4 results)