2020 Fiscal Year Research-status Report
A Cartan decomposition, restricted roots and invariant measure of real spherical homogeneous spaces of reductive type
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19K03453
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
笹木 集夢 東海大学, 理学部, 准教授 (60514453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 不変測度 / 双対定理 / 可視的作用 / 簡約型球等質空間 / 階数1 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウィルスの影響により,計画していた研究出張はすべて取り止めとなり,多くの研究集会が中止となったため,予定していた研究計画が思い通りに実施できない状況に置かれている. (1)昨年度(2019年)に投稿した井川治氏(京都工芸繊維大),馬場蔵人氏(東京理科大)との共著論文が,2021年3月にDifferential Geometry and its Applications 76 (2021) 101751に出版された. (2)同じく,昨年度(2019年)に投稿したAli Baklouti氏(Sfax大学)との共著論文がJournal of Lie Theoryに受理された.本論文は2021年9月に出版予定である.なお,昨年度より内容をさらに精査した結果,ハイゼンベルグ等質空間上の2乗可積分関数全体からなるヒルベルト空間から複素ハイゼンベルグ等質空間上の正則関数全体のなす空間への連続かつ単射な絡作用素を,数ベクトル空間上の熱核およびハイゼンベルグ上の熱核を用いた積分作用素によって与えた.これにより,本論文の主結果の一部の証明が完結かつ明快になった. また,本成果に関する研究発表を2021年3月に実施された「部分多様体幾何とリー群作用2020」において招待講演を行った. (3)階数1型の(非対称な)簡約型複素球等質空間に対するカルタン分解の証明を精査し,不変測度をカルタン分解に沿った形でコンパクト群のハール測度と可換部分のルベーグ測度によって明示的に与える研究成果について論文執筆中である.特に,カルタン分解については昨年度までの行列実現による証明から,行列実現によらない証明の方法を発見することができた.この証明により,制限ルートの集合は逆に1つの実現で研究すればよいことを裏付けることとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)昨年度投稿した論文が受理され1編が2020年度内(2021年3月)に,もう1編が2021年9月ごろに出版される見込みであり,この点は計画通り終了する予定となった. (2)2019年度は予定通り(一部では予想以上に)研究が進展したが,2020年に入って新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受け,研究環境および学内業務の大きな変化に追われた.その結果,計画していた研究内容(階数1型の複素球等質空間に対する研究成果の論文執筆,ケーリー型や4対称空間に対する結果の精査など)に取り組む時間が大幅に削減されたため,予想以上に計画が進まなかった. (3)2019年度に副産物としてスタートすることができたハイゼンベルグ型のゲルファント対に対する可視的作用の研究についても,(2)で述べた理由により進まなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍でまだまだ対面による共同研究打ち合わせが難しい局面ではあるが,この状況に応じた研究活動の方法も2020年度内に模索できた部分もあるため,今後は2020年度よりも積極的に活動する.具体的には,以下の計画を遂行する: (1)前年度の研究計画を遂行する.(1-a) 階数1型の非対称な簡約型複素球等質空間上の不変測度に関する研究成果を論文にまとめ投稿することを目指す.(1-b) 階数1型を利用して得られるケーリー型の簡約型複素球等質空間上の不変測度に関する成果を精査し論文執筆に進めたい.(1-c) 同時並行で,直線型の簡約型複素球等質空間に対しても同様に研究を実施する. (2)既約でない簡約型複素球等質空間に対するカルタン分解の具体的表示の研究をさらに推し進める.研究代表者によるカルタン分解の可換部分の具体的表示の研究は,構成過程が制限ルートや不変測度の明示的表示に効果的に影響を与える. (3)ハイゼンベルグ型のゲルファント対に対する可視的作用の研究を継続する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により,学外出張が禁止・制限され,予定していた研究集会への参加・講演が取り止めとなった.そのために計上していた旅費を使用することがなかったために使用額が生じた.一方で,学内および在宅で研究活動を行うために必要な物品を追加購入した. 2021年度もまだまだ学外出張を伴う研究打ち合わせや研究発表の機会が制限されることが予想されるため,計画していた旅費に関する予算の一部を論文執筆やオンラインでの研究発表・研究討論を含む研究活動全般のための物品費に充てることを検討している.また,書籍(電子書籍を含む)などの資料の購入を計画している.
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Research Products
(2 results)