2022 Fiscal Year Research-status Report
The Cohen-Macaulay property of ideals associated with subspace arrangements
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19K03456
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柳川 浩二 関西大学, システム理工学部, 教授 (40283006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Specht ideal / 極小自由分解 / Cohen-Macaulay性 / 組合せ論的可換代数 / 対称群の表現論 |
Outline of Annual Research Achievements |
λを正整数 n の分割とする。対称群の表現論で重要な Specht module V_λは体K上の多項式環 S=K[x_1, .., x_n]の部分空間として実現される。V_λが生成する S のイデアル I_λをSpecht ideal という。M. Haiman と A. Woo は、I_λが常に被約であることを証明した他、その普遍グレブナ基底を求めた(ただし「未発表」)。前年度、代表者は大杉英史氏(関西学院大)、村井聡氏(早稲田大)と共同で上述の Haiman-Woo の結果の別証明を得ていたが、本年度に査読付き学術雑誌から出版された。 以下、Kの標数を0とする。λ=(n-d,d), (d,d,1)のとき, S/I_λはCohen-Macaulayである。C. Berkesch Zamaere, S. Griffeth, S.V. Sam は、2014年に Comm. Math. Phys. から発表した論文において、I_λ の S-上の極小自由分解のサイズと各項の free basis の対称群 S_n-加群としての構造を特定した。彼らの研究は有理Cherednik代数など表現論の高度な理論を用いているが、微分写像の記述には至らなかった。申請者は柴田孝祐氏(米子高専)と共同で、 Berkesch Zamaere らの上述の結果の別証明を得た他、微分写像の具体的な記述にも成功した。また、代表者らの研究は分岐公式など Specht module の基本的な道具しか使わないことも特徴とする。本研究を扱った論文は学術雑誌に投稿中で、査読者の指示を受け、現在細部を改訂中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度で終了する予定だった本研究課題であるが、コロナ禍で23年度まで延長された。そうした中、新たな研究課題『Specht ideal の環論的性質およびグレブナ―基底の研究』も始まった。コロナの影響もまだまだ残る中、2つの研究課題が同時進行することとなり、それぞれに割かれる時間が限られたことが大きい。こうした状況下でも、両研究課題合わせて3本の論文を執筆し、学術雑誌に投稿中であるが、どれも査読中の状態であり、未だ「業績」として載せられない。本研究課題の次なる論文の作成方針も、柴田孝祐氏(米子高専)との共著として大まかに決まっているが、高専の教員である氏の多忙も有り、作業は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の潜在的な目標は、組合せ論的可換代数の主要な問題(特に、Cohen-Macaulay性の問題)を、当該分野の古典的対象である単項式イデアルやトーリック・イデアルだけでなく、もう少し一般的で新たな組合せ論的背景を持ったイデアルに拡張することにあった。本研究課題の具体的な研究対象の一つであった Specht ideal については、本年度の研究成果である大杉氏らとの上述の共著論文が転機となってグレブナ基底に関心が移行し、新たな研究課題『Specht ideal の環論的性質およびグレブナ―基底の研究』の中心テーマとなった。そこで、本研究課題の次なる研究対象として、simplicial poset の face ring の定義イデアルの Lyubeznik table について、上述の柴田氏と共同で取り組むことを計画している。このイデアルは厳密には超空間配置に対応していないが、この欄の最初に述べた本研究課題の大きな目的意識には沿うものである。
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Causes of Carryover |
当初から、助成金の大半を旅費に使う計画であった。しかし、初年度の2019年度は体調不良で出張回数を絞っていたうえ、新型コロナの影響が著しかった20~21年度は殆ど出張できず大幅な繰り越し額が発生してしまった。社会が平常化に向かい始めた22年度にはそれなりの回数の出張を行ったが、繰り越し額が大きかったため、再び残額が発生した。23年度は、社会も完全な脱コロナが見込まれるため、積極的に出張を行いたい。
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Research Products
(2 results)