2019 Fiscal Year Research-status Report
Developments and Applications of Geometric Singularity Theory
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19K03458
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 剛郎 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50176161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フロンタル / シンプレクティック構造 / 接触構造 / ラグランジュ多様体 / ルジャンドル多様体 / コフロンタル / 双対性 / 特異点の認識問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,本研究課題の目的,すなわち,幾何構造に関連して重要な方程式の幾何学的解および解曲面を幾何学的制御理論の側面から,その対称性・双対性・特異性に注目して研究し,ラグランジュ・ルジャンドル特異点論の一般化としてフロンタル写像の特異点論を発展させることに成功した.とくに,フロンタル特異点とその双対概念であるコフロンタルを導入できたこと,および,フロンタル特異点の認識問題の解決を多数得られたことは大きな成果である.また,幾何構造によって必然的に現れる特異性の分類リストは幾何構造に依存して変化するが,その相違が幾何構造の特性であることに着目し,幾何学的動機付けのもとで特異点の解析・分類を行い,特異点とその分類の幾何学的意味を明らかにし,幾何学の新たな方法を提示・応用する研究を行なうことができた.特に,微分式系の幾何構造の研究で重要な(2,3,5)分布の分類の双対性を完成させたことは今年度の大きな成果である. 当初の計画通りに,九州(6月),バレンシア(10月),京都(12月)における幾何学あるいは特異点論の研究会に出席・講演し,参加者と問題意識を共有しながら研究連絡を行った.また,ワルシャワ(ポーランド)において研究協力者のヤネチコ教授(ワルシャワ工科大)と研究連絡を行い,それに基づき,ラグランジュ特異点の特異性,不変量,分類に関する共同研究を実施した,その成果は,国際的専門雑誌に受理され出版予定となっている(G Ishikawa, S. Janeczko, Singular mappings and their zero-forms, .業績リスト参照).また,フロンタル特異点の特徴づけの論文を出版し,並行して,研究協力者との共同研究により, (2,3,5)分布の双対性を完全に記述する結果や,関連する実代数幾何に関する共同研究を完成させて出版した.(業績リスト参照).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に関して,研究目的に沿って,研究目標,すなわち,テーマ1.微分式系・制御系に付随する微分方程式と解の対称性・双対性・特異性,テーマ 2.フロンタル写像の特異性の認識問題の深化と微分幾何学への応用,テーマ 3.幾何学的に関わる特異性分類問題の幾何ロバスト性とモジュライの幾何学化,についての結果が順調に得られ,論文執筆,投稿,出版が順調に進んでいる.とくに,2019年度中にフロンタル特異点とコフロンタルの概念を導入し,論文を出版できたこと,および,フロンタル特異点の認識問題の解決を多数得られ,これも出版できたことは大きな成果である.また,幾何学的特異点論に関する国際共同研究も進展し,論文を完成させ出版確定できたことも大きな成果である. ただし,2階の常微分方程式の幾何学的一般化であると同時に,ローレンツ幾何額の一般化に関する双対性の結果がおおよそ得られているが,2019年度中には完成に至らなかったが,2020年度において完成を目指したい.また,計画していた静岡(2020年3月)の研究会への出張は,研究会が新型コロナウィルス感染症の拡大のため中止となり行うことができなかったが,この計画は,2020年度に実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の目的に従い,幾何構造に関連して重要な方程式の幾何学的解および解曲面を幾何学的制御理論の側面から,その対称性・双対性・特異性に注目して研究し,ラグランジュ・ルジャンドル特異点論の一般化としてフロンタル写像の特異点論を発展させる.特に本研究課題の具体的な目標,すなわち,テーマ1.微分式系・制御系に付随する微分方程式と解の対称性・双対性・特異性,テーマ 2.フロンタル写像の特異性の認識問題の深化と微分幾何学への応用,テーマ 3.幾何学的に関わる特異性分類問題の幾何ロバスト性とモジュライの幾何学化,について,引き続き研究を継続していく. 2019年度に幾何学的特異点におけるフロンタル特異点の概念を整備したが,余次元が高い場合のフロンタルの概念の応用がまだ十分与えられていないことが2019年度の研究によってわかってきたので,余次元が高い場合の応用として,平行フロンタルの概念を導入し,発展させる予定である.すなわち,ユークリッド空間へのフロンタル写像芽について,法平坦の概念を導入し,法平坦なフロンタルに対して,その平行フロンタルを定義し,それに現れる特異点と微分幾何学的特性を研究する.ここで,法平坦とは,フロンタルの法接続が平坦になることである.そのために,国内外の関連研究者と共同研究を実施する.幾何学的特異点のロバスト性を解明するため,近ユークリッド空間におけるフロンタルの特異点とその平行フロンタルの特異性も研究していく.また,法平坦部分多様体の重要なクラスとして,等径部分多様体があり,そのコクセター群との関係はよく知られているところだが,法平坦フロンタルに多雨する類似の対象を追求する.また,等径部分多様体が実代数多様体となることが知られているが,その閉包として得られる特異多様体がフロンタルになるかどうかを解明する.さらに,幾何学的特異点論と実代数幾何学の関連も追求する.
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Research Products
(10 results)