2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03459
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩谷 隆 東北大学, 理学研究科, 教授 (90235507)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | CAT空間 / 測度の集中現象 / ピラミッド / ボックス距離 / オブザーバブル距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲率が上に有界な2次元距離空間の構造について,山口孝男氏(筑波大学)と永野幸一氏(筑波大学)と共同で研究して,その局所構造を解明した.そのような空間が局所的に分岐被覆空間を貼り合わせたような構造を持つことを示し,位相的特異点集合がグラフの構造を持つことを示した.さらに,ガウス曲率が一定の面をもつ多面体により近似されることを証明した.これについて論文を執筆し,Geometry & Topologyに掲載が決定した.さらに大域構造と曲率測度についての研究を進めている. Gromovは測度距離空間の同型類の間にボックス距離とオブザーバブル距離という2つの距離関数を定義した.ボックス距離は従来よく研究されてきた測度付きGromov-Hausdorff収束と関連が深い.オブザーバブル距離は測度の集中現象のアイディアを元に定義されたものである.測度距離空間の同型類全体の空間上に,ボックス距離から定まる位相をボックス位相,オブザーバブル距離から定まる位相を集中位相と呼ぶ.これらの位相構造および距離構造について,数川大輔氏(九州大学),中島啓貴氏(愛媛大学)と共同で研究した.成果として,測度距離空間の同型類全体の空間はボックス位相と集中位相について局所コンパクトでないこと,集中位相がベール空間でないこと,両方の位相について可縮であることなどを証明した.さらにボックス距離が測地的であることを証明した.これらの成果をまとめた論文がGeometriae Dedicataに掲載が決定した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
論文を2篇執筆し,両方とも有名誌に掲載が決定した.
|
Strategy for Future Research Activity |
曲率が上に有界な2次元距離空間の曲率測度について研究する(永野幸一氏,山口孝男氏と共同).局所構造の研究を元にして,大域構造を研究する.そのような空間が多面体で近似されることを示したが,多面体上でBurago-Buyaloにより曲率測度が定義されている.その極限測度について研究する.極限測度が近似の取り方によらず一意であること,ガウス・ボンネの公式をみたすことを証明する. 測度距離空間全体の空間の主束の構造について研究する(数川大輔氏,中島啓貴氏と共同).前年度の研究に引き続き測度距離空間の同型類全体の空間χの位相的構造を研究する.そのような空間には正の実数全体から成る加法群R_+がスケール変換として作用している.その作用による固定点は1点空間*のみである.1点空間を除いた部分χ-*の作用による商空間をΣとおくとき,χはΣが生成する錐に同相であることが予想される.これはGromov-Hausdorff空間の場合には正しいことが知られている.しかし,これまでの考察により,χはΣが生成する錐に同相とはならないことが分かった.この作用が主束の構造を持つことを証明する.χのピラミッダルコンパクト化についても同様の結果を証明する.
|
Causes of Carryover |
中国で行われた研究集会に出張予定だったが,新潟ビザセンターが異例なほど混雑していて,ビザの取得が間に合わず,渡航を中止したため次年度使用額が生じた. 筑波大学で共同研究を行うための旅費として使用予定である.
|
Research Products
(7 results)