2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on dimension and topological spaces in coarse geometry
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19K03467
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山内 貴光 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00403444)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 漸近次元 / 漸近的性質C / 有限分解複雑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
粗幾何学における基本的な次元概念として漸近次元がよく知られている. 距離空間に対して「漸近次元が有限」ならば, 「Hilbert空間に粗埋め込み可能」であり, これら2つの条件の間にはいくつかの粗幾何学的概念が知られている. その中に, Dranishinikov (2000)によって導入された漸近的性質Cと, Guentner, Tessera and Yu (2012,2013)によって導入された有限分解複雑性があるが, これらの関係については分かっていない. これらの性質について以下の成果を得た. 1. 漸近的性質Cに関連する概念として, Radul (2010)による超限漸近次元とDydak (2020)による漸近的性質Dがある. Ostrowski (2020)は定理「距離空間が漸近的性質Dを満たせば, その超限漸近次元は順序数ωω未満である」(ここで,ωは最小の無限順序数)を示し,問題「超限漸近次元が順序数ωω未満であり漸近的性質Dを満たさない距離空間は存在するか」を提起した. 本研究では Ostrowskiの定理の逆が成り立つことを示し, 上記問題を否定的に解決した. 本結果をまとめた論文は, 学術誌Topology Appl.に掲載された. 2. Guentner, Tessera, Yu (2013)の定理「漸近次元が有限な距離空間は有限分解複雑性をもつ」の証明では, Dranishnikov, Zarichnyi (2004)による木の有限積への粗埋め込み定理が用いられた. 本研究ではGuentner, Tessera, Yuの定理の直接証明を得た. この証明では, Kasprowskiによる木の有限積への粗埋め込み定理の別証明で用いられた被覆に関する補題が重要な役割を果たしている. 本結果を論文としてまとめ,学術誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超限漸近次元が順序数として値をとることと漸近的性質Dは, 共に漸近次元が有限であることより弱く, 漸近的性質Cをもつことより強い概念であることが知られている. これら2つの概念が密接に関わることを確認できた. また, 今回の漸近次元が有限な距離空間が有限分解複雑性をもつことの直接証明によって, 集合族を用いた直接的な考察が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
「漸近次元が有限」と「Hilbert空間に粗埋め込み可能」の間には, 漸近的性質Cや有限分解複雑性等の他にも無限次元概念が知られている. 今回得られた結果の応用も含め, 無限次元概念のさらなる解明に取り組む. また, 超フィルター等を用いたHigsonコロナの研究についても継続する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による研究集会等のオンライン実施に伴い,旅費の計上がなくなったため. 情報収集のための書籍等の購入や,新型コロナウイルス収束後の旅費等に充てる.
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Research Products
(3 results)