2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K03469
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
山崎 薫里 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (80301076)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 位相空間 / 選好理論 / 順序構造 / 内点 |
Outline of Annual Research Achievements |
位相空間上の実数値関数に対し同じ定義域をもつ別の関数を対応させる作用において、関数の順序を保つような作用素を単調作用素という。定義域にある位相的性質を仮定したときの単調作用素の存在問題は、近年、順序位相ベクトル空間を終域とする写像へ拡張されてきた。その研究過程で、単調性(順序の保存性)や凸保存性、および、これらの性質を実現できる空間やその反例を与える空間が研究対象となっている。特に、終域を有限次元ベクトル空間から無限次元の順序ベクトル空間へ拡張する場合、正錘が内点を持つかどうかが鍵となってくる。一方、これらの順序位相ベクトル空間は、経済学においても応用されており、本研究は、個人の選好を数値化して捉える選好理論の概念に対し、順序を保つ写像の構造を位相空間論の知見から再構築を試みるものである。 前年度、順序の入ったバナッハ空間を用いた選好理論の具体例を調べ、位相的な視点からの一般化の可能性を探った。本年度は、内点条件の経済学版といえるベクトルの存在の仮定のもと、これらの例を統一的にとらえることを試みた。この試み自体は未だ成果には結びついていないが、研究の過程において、ある種の均衡の概念自体の新たな数学的表現を与えることができた。先行研究における定義に差異があるため、得られた結果に影響しないかという精密なチェックが必要な状態であるが、概ね、交換経済におけるある種の選好理論の数学的な説明と捉えられる。 次年度は、細部のチェックを行った後に、結果を論文としてまとめる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
選好理論の基礎文献の解読を行った。当初予定していた文献の行間が埋まらず進展が止まったが文献を変えて解読をすすめ、予定通りの進展を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得られた結果の精密なチェックを行い、論文としてまとめる計画である。また、一般化の可能性を探りたい。
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Causes of Carryover |
12月に共同代表者として開催予定であった「ジェネラルトポロジーシンポジウム」が新型コロナウイルスのため次年度へ延期となったため、使用予定であった会場費・講演者の旅費等が未使用となった。繰越金は、次年度開催予定の同シンポジウムに充てる計画である。
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