2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03470
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
横田 佳之 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40240197)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 交代結び目 / ジョーンズ多項式 / 体積予想 / ポテンシャル関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
結び目・3次元多様体の理論は、サーストンによる双曲幾何学の導入や、ジョーンズ、ウィッテン等による量子不変量の発見をきっかけとして大きく発展し、現代の位相幾何学における中心的なテーマの一つとなっている。 本研究が扱う結び目の体積予想は、結び目の代表的な量子不変量として知らていれる色付きジョーンズ多項式の極限に、グロモフ体積、チャーン・サイモンズ不変量、ライデマイスター・トーション等の、結び目補空間の幾何構造から定まる基本的な不変量が現れるという魅力的な予想であり、結び目・3次元多様体の幾何構造と量子不変量を結びつける重要な研究テーマとして、過去四半世紀、多くの研究者の注目を集めてきた。 本研究の目的は、結び目の最も重要なクラスである交代結び目に対する体積予想を肯定的に解決し、一般の結び目に対する体積予想の解決の突破口とすることである。具体的には、交代結び目の補空間の、交代図式に対応した理想四面体分割の非退化性を利用し、色付きジョーンズ多項式の積分表示に鞍点法を適用できることを示すことである。 今年度の研究では、色付きジョーンズ多項式の積分表示に現れるポテンシャル関数のへッシアンに着目し、鞍点法を適用する領域の再検討を行なった。具体的には、各変数の実部を固定したファイバー上で定義されるポテンシャル関数のへッシアンが正定値となるような、各変数の実部を集めた領域の検討であり、昨年度の研究で構成した、結び目補空間の理想四面体分割に対応するノイマン・ザギエ行列を用いたへッシアンの記述が役立っている。現時点では、負の向きを持つ理想四面体が存在する場合等の難しさは残っているが、次年度の研究では、従来考察していた、ファイバー上で虚部を増大させたときにポテンシャル関数が無限大に発散する領域との関係を明らかにし、鞍点法の適用に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度まで検討していた、四面体の面角をパラメータとする角度空間の考察を断念したため。交代結び目のキューブ構造の活用も、課題として残る。
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Strategy for Future Research Activity |
交代結び目の色付きジョーンズ多項式の積分表示に対して、へッシアンに着目して鞍点法を適用する領域を確定し、キューブ構造との関連性を調べる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響と本務の都合により、国内外への出張が制限されたため。次年度は、国内外の研究集会に積極的に参加し、情報収集や研究発表を行う。
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