2020 Fiscal Year Research-status Report
New development of the coarse geometry of nonpositively curved spaces
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19K03471
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
深谷 友宏 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (40583456)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粗Baum-Connes予想 / 粗幾何学 / 幾何学的群論 / 粗凸空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年に尾國新一氏との共同研究で,粗凸空間と呼ばれる距離空間を導入した.これは断面曲率が非正である単連結リーマン多様体の粗幾何学における類似物であり,グロモフ双曲空間,CAT(0)空間,シストーリック複体を例として含み,また直積と擬等長同型で閉じているクラスである.我々はこの粗凸空間に対して,非可換幾何学に由来する粗Baum-Connes予想が成り立つことを示した.その証明の過程で,粗凸空間の境界を構成した.
研究当初は,粗凸空間はやや人工的な設定のように考えていたが,その後の海外の研究者の研究の進展により,出自の異なる様々な群が粗凸空間に幾何学的に作用することが分かってきた.特に最近のOsajda等によるHellyグラフの研究とHaette-Hoda-Petytによる研究で,hierarchically hyperbolic group(特に写像類群)が粗凸空間に幾何学的に作用することが示された.そこで粗凸空間そのものの性質を詳しく研究すること意味があると考えた.
2020年度は,江澤悠平さんとの共同研究で,粗凸空間の間の写像が,その粗凸空間の境界の間の連続写像を誘導するための条件を見つけ出し,その写像の性質を調べた.特にそのような写像が粗幾何学の意味で n 対 1 写像であるとき,境界に誘導された写像が n 対 1 写像になることを示した.系として境界の位相次元に関する評価式を得た.また逆に境界の間の連続写像から,内部の空間の間の写像で適切な条件を満たすものを構成した.ここで得られた写像が境界に誘導する写像は,元の与えられた写像に一致する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粗凸空間の間の写像について詳しく調べ,成果を論文にまとめて発表することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
粗凸空間の典型例の一つであるCAT(0)空間に対して知られている事実が粗凸空間でどこまで成立するか精査する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により,国内外の研究集会が延期またはオンライン開催となり,申請時に計画していた旅費の支出がなかったため.
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Research Products
(2 results)