2020 Fiscal Year Research-status Report
Golod 性を中心としたトーリックホモトピーの展開
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19K03473
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
入江 幸右衛門 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40151691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 大祐 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60402765)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 単体複体 / 多様体の三角形分割 / Golod 性 / タイト性 / モーメントアングル複体 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず1つ目の成果として、2次元単体複体の Golod 性の特徴付けを、組み合わせ論の観点からとホモトピー論の観点から次のように与えることができた。 定理。2次元単体複体 K に関する次の3条件は一致する。(1) K は Golod である。(2) K の 1 次元切片は chordal で vertex-breakable である K の2次元全部分複体は neighborly である。(3) K の moment-angle complex Z_K が懸垂空間とホモトピー同値である。 また、この結果の副産物として、単体複体がすべての環の上で Golod であることと、すべての体の上で Golod であることの違いが、すでに2次元で現れることが分かった。 2つ目の成果として、連結な体 F 上向き付け可能な3次元閉多様体の三角形分割の Golod 性の特徴付けを、組み合わせ論の観点からとホモトピー論の観点から与えることができた。これは、より一般的な次の結果の系として得られる。 定理。M を連結な体 F 上向き付け可能な3次元以上の閉多様体の三角形分割とし、次の4条件を考える。(1) M が F-Golod. (2) M が F-tight. (3) M が F 上 tight-neighborly. (4) M の moment-angle complex Z_M が懸垂空間とホモトピー同値である。このとき、(1) ==> (2) <== (3) ==> (4) ==> (1) が成り立つ。特に、3次元多様体では、(2) ==> (3) が成り立ち、すべての条件が一致する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、5年間の研究実施期間中に最低限実施したいと考えていた研究成果(3次元閉多様体の三角形分割の Golod 性の特徴付け)を得ることができた。また、3次元で成立する定理が5次元以上では成立しないことも分かった。これは、研究計画を立てるときにすでに知られていた研究結果であるが、研究計画立案時にはその研究結果を見落としていた。
単連結な5次元多様体 SU(3)/SO(3) の 13 頂点三角形分割 M で、標数2の体上 tight であるが、それ以外の標数の体上では tight でないものが存在することが、Kuehnel-Lutz によって 1999 年に分かっていた。簡単な計算でこの M が 標数2の体上 Golod であるが、それ以外の標数の体上では Golod でないことが分かる。従って、M の moment-angle complex Z_M は懸垂空間にホモトピー同値にはなり得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究の進捗状況でも記したように、3次元閉多様体の三角形分割の Golod 性に関する特徴付けと同様の定理は、5次元以上では成立しないことが分かった。そこで、高次元閉多様体の三角形分割の Golod 性をホモトピー論的に特徴づけることは不可能なので、組み合わせ論の観点のみから特徴づける方向に研究計画を変更する。特に、2021 年度は、連結な体 F 上向き付け可能な閉多様体の三角形分割に関して、その F-Golod 性と F-tight 性が同値であることを、証明することを目標とする。その後は、この成果を用いt、F-tight な閉多様体の三角形分割の特徴付けを組み合わせ論的に与える。
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Causes of Carryover |
まず、新型コロナウイルス感染症の全世界的な拡大によって、すべての研究集会がオンライン開催となり、また、海外出張も不可能となった。この研究における研究費の支出の大部分は、旅費として使用を計画しており、結果として全く使用できない状態になってしまった。新型コロナウイルス感染症が終息すれば、2021年度より研究代表者が退職することにより、十分な研究時間が確保でき予定通り研究費が使用できる。
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