2021 Fiscal Year Research-status Report
Golod 性を中心としたトーリックホモトピーの展開
Project/Area Number |
19K03473
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
入江 幸右衛門 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (40151691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 大祐 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60402765)
山口 睦 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80182426)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 多面体積 / ホワイトヘッド積 / ヤコビ恒等式 / ハーディー恒等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホモトピー群のホワイトヘッド積に関しては、ヤコビ恒等式が成り立つことが知られている。この恒等式をより一般的な恒等式の特別な場合として理解しようという試みが、長い間試みられてきた。本年度の研究では、ホモトピー群のヤコビ恒等式を含むより一般的な恒等式を特別な多面体積(polyhedral products)におけるホワイトヘッド積の関係式として定式化できることを示した。より具体的には以下の通りである。充満複体(fillable complex)K の極小非面(minimal non-faces)の間に成り立つある関係は、K に付随した多面体積の重複ホワイトヘッド積の間の恒等式を導く。特に、単体 n 球面の (n-1)ー切片は、そのような恒等式を導く。また、単体 n+1 球体の (n-1)ー切片が導く恒等式は、n=1 の時、ホワイトヘッド積に関するヤコビ恒等式であり、n が 2 以上の場合、高次ホワイトヘッド積に関するハーディー恒等式である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、5年間の研究実施期間中に最低限得たいと考えていた研究成果(3次元多様体の三角形分割の Golod 性の組み合わせ論的、ホモトピー論的特徴づけ)は、研究開始後2年間で得ることができた。今年度は、4次元多様体の三角形分割の Golod 性の組み合わせ論的、ホモトピー論的特徴づけを与えることを中心として研究に取り組んだが、残念ながらこの方面では何の結果も得ることができなかった。これは、4次元多様体の三角形分割で Golod 性を持つ例が、(特別に単純なものを除いて)非常に少なく、かつ、複雑になるためである。この問題に関しては、残り2年間の研究実施期間中に引き続き取り組む。
しかしながら、上に記したようにホワイトヘッド積に関するヤコビ恒等式の拡張を与えることができた。これは、研究計画書にこの研究課題の主課題の解決の進捗が思わしくないときに実施する研究課題の1つとして挙げたもので、十分な研究成果と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今までの研究で、3次元閉多様体の三角形分割の Golod 性に関する特徴づけと同様の定理は、5次元以上では成り立たないことが分かっている。つまり、5次元以上の高次元閉多様体の三角形分割の Golod 性をホモトピー論的に特徴づけることは不可能である。そこで、2022年度においては、次の2点を中心に研究を行う。
まず、3次元閉多様体の三角形分割の Golod 性に関する特徴づけと同様の定理が4次元でも成り立つかどうかを明らかにする。次に、連結な体 F 上向き付け可能な閉多様体の三角形分割に関して、その F-Golod 性と F-tight 性が同値であるかどうかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
この研究課題においては、研究費の大部分を研究集会の開催及び参加のための旅費として研究計画を立てています。しかし、2021年度は新型コロナウイルスの蔓延により対面での研究集会の開催ができず、すべての研究集会はオンライン開催となってしまいました。そのため、旅費として支出を予定していた研究費の大部分が余ってしまいました。次年度は新型コロナウイルスも沈静化し、対面での研究集会が開催できるものと期待されています。
|