2021 Fiscal Year Research-status Report
Coxeter群の増大度とCoxeter元のスペクトル半径の間のMcKay対応
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19K03481
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小森 洋平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70264794)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コクセター系 / サラム数 |
Outline of Annual Research Achievements |
Coxeter系(W,S)から定まる2つの幾何的量である増大度とCoxeter元のスペクトル半径の関係を考察する研究を行なっている。今回は平坦構造から定まるタイヒミュラー・モジュラー部分群の元である擬アノソフ写像の拡大率の数論的性質を考察した。具体的にはマクマレンが考察した双曲コクセター系 Ah_{2n} の2色固有値として、サラム数の一般化である2サラム数が現れることが分かった。ここで1より真に大きい実代数的整数が2サラム数であるとは、別の1より真に大きい実の共役元を持ち、その他の共役元のノルムは1以下で、単位円周上に位置する共役元が少なくとも1つあるような数のことである。この実代数的整数は2次元や3次元の双曲コクセター群の増大度には現れないことが知られていたが、今回の研究では4次元単体の頂点を切頭して得られるコンパクトな双曲4次元コクセター多面体を、等長的な面に沿って次々に張り合わせて得られるコクセター多面体の無限系列に対し、付随する双曲コクセター群の増大度に2サラム数が現れることを示した。先行研究ではサラム数やピゾ数が写像の拡大率や双曲コクセター群の増大度に現れることは知られていたが、今回の研究によりそれら実代数的整数の一般化である2サラム数が擬アノソフ写像の拡大率や双曲4次元コクセター群の増大度に現れることが分かった。その際に増大度関数の分母多項式や固有多項式の既約性が常に問題になり、今回の場合については既存のマーラー多項式のデータが有用であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスのため、対面での共同研究等が全く行えなかったので、当初の研究計画のうちの、Coxeter群 の増大度とCoxeter元のスペクトル半径の間のMcKay対応については、2次元コンパクト双曲Coxeter群の増大度とプレッツェル結び目のアレキサンダー多項式のマーラー測度が一致するという南フロリダ大学の広中えり子教授の先行結果を理解するだけに留まった。この結果をより高次元の双曲Coxeter群で考察することを今年度の研究目標とする。
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Strategy for Future Research Activity |
Coxeter群の増大度とCoxeter元のスペクトル半径の間のMcKay対応の研究については、2次元コンパクト双曲Coxeter群の増大度とプレッツェル結び目のアレキサンダー多項式のマーラー測度が一致するという広中えり子教授の結果を高次元の双曲Coxeter群で考察することを再度研究目標とする。今年度は国内外の国際研究集会への対面での参加や共同研究を通して研究活動を活発に行いたい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスのため、当年度に予定していたケラハルス教授との共同研究のための海外渡航が延期となった。今年度は国内外の国際研究集会への参加や共同研究への旅費に、助成金の次年度使用額を用いたい。
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