2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K03491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 弘一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70547009)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 4次元多様体 / 微分構造 / Seiberg-Witten 不変量 / Bauer-Furuta 不変量 / コルク / 結び目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主な目的は、4次元多様体の微分構造の性質を様々な観点から解明すること、及び、4次元多様体論の結び目理論への新しい応用を与えることである。 2020年度の主な成果は Seiberg-Witten 不変量の単純型予想に関するものである。ここで連結閉有向4次元多様体が Seiberg-Witten 単純型であるとは、全ての Seiberg-Witten 基本類の仮想次元がゼロであるときをいう。単純型予想とは「全ての連結閉有向4次元多様体は Seiberg-Witten 単純型である」というゲージ理論における懸案の予想であり、1990年代に提出された。私は加藤毅教授(京都大学)、中村信裕講師(大阪医科大学)との共同研究で、コホモロジー環に関する適当な条件の下では全ての連結閉有向4次元多様体が mod 2 Seiberg-Witten 単純型であることを示した。特に位相4次元多様体の広いクラスに対し、全ての微分構造が mod 2 Seiberg-Witten 単純型であることが従う。また応用として、4次元多様体に埋め込まれた自己交叉数が負の閉曲面と mod 2 Seiberg-Witten 基本類に対する随伴不等式が、4次元多様体の位相に関するある仮定のみで成立することを示した。主結果の証明は私が以前に幾何学的単連結性に関する単著論文で用いた手法に基づいている。これらの共同研究の成果をまとめた論文は arXiv で公開している。また Journal of the European Mathematical Society から掲載受理されている。 その他にも、コルクと結び目に関する単著論文が Journal of Differential Geometry から掲載受理された。また2020年11月20日~22日に研究集会「4次元トポロジー」を大阪大学(オンライン)で開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していなかった単純型予想に関する重要な成果が得られたが、(非)安定化や関連事項に関する成果の論文執筆が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書記載の研究実施計画に沿って研究を実施するが、(非)安定化に関する論文執筆を優先する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた出張を国内・国外共に一件も実施できなかった。そのため次年度使用額が生じた。次年度使用額は主に旅費、電子文献、書籍の購入に使用する予定である。
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