2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03491
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 弘一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70547009)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トポロジー / 4次元多様体 / 微分構造 / コルク / 安定化 / 単純型予想 / 随伴不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主な目的は、4次元多様体の微分構造の性質を様々な観点から解明することと、4次元多様体論の結び目理論への新しい応用を与えることである。 2021年度の主な成果は4次元多様体のSeiberg-Witten 不変量に対する単純型予想に関するものである。ここで連結閉有向4次元多様体が単純型であるとは、全ての Seiberg-Witten 基本類の仮想次元がゼロであるときをいい、単純型予想とは「全ての連結閉有向4次元多様体は Seiberg-Witten 単純型である」というゲージ理論における懸案の予想のことである。2021年度は加藤毅教授(京都大学)、岸本大祐教授(九州大学)、中村信裕教授(福島県立医科大学)との共同研究で、Seiberg-Witten 基本類の仮想次元の値に対する上からの評価を初めて与えた。これは単純型予想の肯定的解決へのアプローチを与えている。応用として、単純型とは限らない4次元多様体に対する随伴不等式を与えた。これらの成果は共著論文としてarXivで公開し、専門誌に投稿している。 研究協力者である指導学生(大阪大学大学院生)とはトライセクションや4次元多様体のエキゾチック対の構成法について様々な議論を行った。特に、有理ブローダウンと安定化の関係に関する若槇洋平氏の成果と、コルクのトライセクション種数に関する髙橋夏野氏の成果は、いずれも微分構造への様々な応用につながることが期待される興味深い成果である。髙橋氏はこの成果をまとめた修士論文により、大阪大学情報科学研究科賞を受賞した。 また情報交換と若手育成のため、鎌田聖一教授(大阪大学)、松本堯生名誉教授(広島大学)と共に研究集会「4次元トポロジー」を2021年11月12日~14日に大阪大学(オンライン)で開催した。84名の参加者があり、活発な議論がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していなかった単純型予想と随伴不等式に関する重要な成果が得られたが、十分な時間が取れなかったため(非)安定化や関連事項に関する成果の論文執筆が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は(非)安定化に関する成果など、これまでに得られた成果の論文執筆を優先する予定である。また、コロナ禍のため実施できなかった対面での研究交流や海外での研究を実施し、情報交換に努めたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、コロナ禍のため予定していた国内外の出張を一件も実施できなかったことである。次年度使用額は主に旅費と、(電子)書籍やパソコン周辺機器の購入に使用する予定である。
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