2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on curvatures from the viewpoint of new convexities and its application to geometric analysis
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19K03494
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高津 飛鳥 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90623554)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 凹性 / 熱流 / 情報幾何 / 最適輸送理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
離散確率測度空間上の汎関数としてのボルツマンエントロピーは、Khinchinの提唱した4つの性質、すなわち「連続性」「最大性」「展開性」「加法性」を満たす唯一の汎関数として特徴付けることができる。そして「連続性」「最大性」「展開性」を満たし、かつ「加法性」における係数を冪関数にした関係式を満たす汎関数はツァリスエントロピーに限ることが知られている。そこで「加法性」における係数を冪関数以外の関数に置き換えられるかどうかを考えることは自然である。申請者は、「加法性」における係数を冪関数以外には置き換えられないことを示したのみならず、ボルツマンエントロピーおよびツァリスエントロピー以外の「連続性」「最大性」「展開性」を満たす離散確率測度空間上の汎関数に対し、加法性からのずれを評価した。これらは論文にまとめ、現在投稿中である。 またこの特徴から、ボルツマンエントロピーおよびツァリスエントロピーが離散確率測度空間上の汎関数の中で特別であることが伺える。そして、ボルツマンエントロピーおよびツァリスエントロピーと関連する凹性は冪凹性と呼ばれる。申請者は東京大学の石毛和弘氏とフィレンツェ大学のPaolo Salani氏とともに、考えうる凹性の中で、冪凹性のみが正のスカラー倍に対する不変性を持つことを証明した。さらに冪凹の中で、正冪を取るという操作に対する不変性を持つものは対数凹性、すなわちボルツマンエントロピーに関連する凹性のみであることを示した。これらは論文にまとめ、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凹性に関する研究を進める中で、申請者は東京大学の石毛和弘氏とフィレンツェ大学のPaolo Salani氏とともに、冪対数凹性という新しい概念を提唱した。特に冪が1である場合、すなわち1-対数凹性は通常の対数凹性と一致する。そして冪が1未満の場合は、対数凹性よりも強い性質を持つことを示した。特に1/2-対数凹性はユークリッド空間における熱流で保たれることを示し、熱流の保存則に対する新しい知見を得た。そしてこのことから1/2-対数凹性を用いた新しい熱流の新理論の展開が見込まれる。実際に、名古屋工業大学の松添博氏とボルツマンエントロピーのゲージ不定性現象の具体例を冪対数凹性を用いて構築した。 申請者の当初の計画では、1/2-対数凹に対するPrekopa・Leindler不等式を示し、最適輸送理論を用いたリッチ曲率の下限に対する新しい特徴づけを与えることを目標としていた。しかし対数凹性を除く一般の冪対数凹性が正のスカラー倍に対して不変でないことを東京大学の石毛和弘氏とフィレンツェ大学のPaolo Salani氏との共同研究により示したため、この方向性における研究の発展は難しくなった。その意味では研究は当初予定していた方向に進めることは難しくなったが、なぜその方向性では駄目なのか理由は明確であるため、軌道修正が可能であり、軌道修正をした後に順調に研究は進んでいる。そのため当初とは異なる方向性ではあるが、研究はおおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは熱流において保存される凹性に関する研究を進める。その第一歩として、東京大学の石毛和弘氏とフィレンツェ大学のPaolo Salani氏との共同研究により、ユークリッド空間の熱流で保たれる最強の凹性が対数凹性であることを示した。そこで次に、ユークリッド空間の熱流で保たれる最弱の凹性が何であるかを明らかにすることを目標とする。そしてユークリッド空間における結果を考慮し、リーマン多様体における熱流で保たれる凹性を明らかにし、曲率の下限に対する新しい特徴づけを与えることを目指す。また、熱流以外の拡散方程式、例えば多孔質媒体流を考え、次元の上限に対する新しい特徴づけを与えることを試みる。 また、熱流のエネルギー関数であるボルツマンエントロピーおよび多孔質媒体流のエネルギー関数であるツァリスエントロピーの振る舞いを情報幾何の概念と保たれる凹性の特徴を用いて考察し、ダイバージェンス汎関数に付随する情報幾何構造、特にゲージ不定性現象に関連する理論構築を進めることを目指す。そしてゲージ不定性現象に現れるエントロピーを最適輸送理論を用いて解析し、対数ソボレフ不等式などのエントロピーを密接に関連する関数不等式にの剛性定理などを明らかにすることを目標とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響でいくつかの国際研究集会が延期になったため。
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Research Products
(7 results)