2021 Fiscal Year Research-status Report
多面体による写像の特異点および多様体の幾何構造の研究
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19K03499
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| Research Institution | Keio University |
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Principal Investigator |
石川 昌治 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 教授 (10361784)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 特異点 / 多面体 / ３次元多様体 / ４次元多様体 / 無限遠の特異点 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
シャドウとは３次元多様体および４次元多様体を多面体により表示する手法であり、量子不変量の研究においてTuraevにより導入された。平面曲線特異点の実モース化の一般化としてA'Campoにより導入されたディバイドは、実直線配置の複素化を含み、特異点をもつ平面曲線の大域的な研究を進める上での理解を進めやすい研究対象である。前年度までの研究でディバイドのシャドウ表示、および、そのLefschetz束の消滅サイクルの把握を進めた。今年度の研究では、ディバイドが表す代数曲線の補空間に着目し、その基本群の研究を行った。ディバイドを２重化してシャドウ表示を構成し、その図式上で、シャドウの特異集合の辺と領域に基本群の生成元を割り振る。関係式は特異集合の辺および領域から得られる。このようにして得られる基本群の表示は、結び目補空間の基本群のWirtinger表示の類似であり、実際、シャドウのグリームが特別な場合には、Wirtinger表示そのものになることが証明できる。表示自体はまだ繁雑ではあるが、平面曲線補空間の基本群の新しい計算方法を提示しており、意味のある結果が得られている。
また、多項式写像の無限遠の特異点の研究として、atypicalファイバー近傍での対のホモトピー群に着目し、研究を進めている。Atypicalファイバーとは局所自明束にならないファイバーのことを指す。多項式写像によるatypicalファイバーの像全体の集合は bifurcation set と呼ばれる。この集合は代数的集合となる。Bifurcation set に滑層構造を与え、そのstratum上に弧を選び、多項式写像をその弧の逆像に制限する。この制限された多項式写像に対して対のホモトピー群を考え、atypicalファイバーの特徴づけを与えることを研究の目標としている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度行ったA'Campoのディバイドのシャドウ表示を使って、ディバイドが表す４次元球体内の２次元曲面の補空間の基本群の表示を得ることができた。この研究は実直線配置の複素化を含むものである。今回の研究で、特に、平面曲線特異点の消滅サイクルの位置を基本群の元を使って明確に記述できるようになった。これは多項式写像の特異点を理解する上で重要な情報となる。また、多項式写像の無限遠の特異点の研究についても、着実に進展している。研究はおおむね順調に進展しているといえる。
その一方で、新型コロナウィルスの影響で研究打合せや研究集会への参加による情報収集を円滑に行うことができなかった。多項式写像に関する研究ではNguyen Tat Thang氏とオンラインで定期的にセミナーを行うことで研究を進めた。この研究は軌道に乗っているため、オンラインでも進めやすい研究になっている。一方、ディバイドとシャドウの研究は方向性を精査する必要があり、オンラインでの研究には難しさを感じている。研究全般には大きな影響はないが、研究のペースにはそれなりの影響がある。
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| Strategy for Future Research Activity |
ディバイドを使った平面曲線の補空間の基本群の表示をもっと簡潔な表示に作り変える。複素化された実直線配置の補空間については、Randellのよる表示が知られている、今回得られた基本群の表示は円板上に描いたシャドウに対して与えたものであり、ディバイドが表す平面曲線のクラスと比べると一般性がかなり高い。研究対象をディバイドや複素化された実直線配置に制限することで、より簡潔な表示が得られると期待できる。
多項式写像の無限遠の特異点の研究については、引き続き、対のホモトピー群の研究を進める。対のホモトピー群を使ったSerreファイブレーションの特徴づけと、その有効性を示す具体例の研究を進める予定である。
フロースパインおよび接触構造の研究は、考察をいくつか進めているが、膠着状態にある。ディバイドによる基本群の表示の研究を進めつつ、その研究結果をフロースパインの研究に還元させる予定である。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で、今年度の研究集会への出張や研究打合せの予定がすべてキャンセルとなったため。延期となった研究集会や研究打合せは次年度に開催される予定であり、その際に研究費を用いる予定である。
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