2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03507
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 望 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (00389339)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 弾性曲線 / 離散弾性曲線 / 明示公式 / 楕円テータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的のひとつは、良い性質をもった離散曲線の構成方法を可積分系の観点から研究することである。当該年度はユークリッド平面内の弾性曲線と離散弾性曲線がそれぞれ楕円テータ関数によって明示的に構成できることを示した。以下その内容を述べる。平面内の弾性曲線(細い弾性棒)は、1690年代から1740年代にかけてヤコブ・ベルヌーイやダニエル・ベルヌーイやオイラーによって深く研究され、すでにその時代には形状が分類された曲線だが、現代的な視点からは1984年のランガーとシンガー (DOI: 10.1112/jlms/s2-30.3.512) や1994年のマンフォード (DOI: 10.1007/978-1-4612-2628-4_31) などが行ったように、楕円関数や楕円テータ関数を用いるとその形状を明確に記述することができる。これを弾性曲線の明示公式と呼ぶ。一方、1990年代に始まった離散可積分幾何の流れの中で、1999年にボベンコとスリス (DOI: 10.1007/s002200050642) は離散曲線に対して弾性エネルギーを導入し、弾性曲線の可積分な離散モデルとしての離散弾性曲線を定義した。本研究ではユークリッド平面内の離散弾性曲線の明示公式を構成し、離散弾性曲線の頂点の座標を楕円テータ関数によって具体的に書き下した。特に離散弾性曲線の離散曲率(すなわち頂点の外角を二等分して正接をとったもの)はテータ関数の比で表され、したがって離散曲率がみたす差分方程式はいわゆるQRT写像 (DOI: 10.1016/0167-2789(89)90233-9) の一例となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果を基礎にして、ユークリッド空間内の離散キルヒホフ弾性棒の明示公式を構成する。
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Causes of Carryover |
国際会議出席のための旅費が嵩み今年度に購入を予定していた物品(デスクトップコンピューター)が買えなくなったため、助成金の一部を次年度に繰り越し、次年度分の助成金と合わせて、次年度に当該物品を購入する。
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Research Products
(3 results)