2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03507
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 望 久留米工業大学, 工学部, 教授 (00389339)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 単振り子 / 離散弾性曲線 / 離散弾性棒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は単振り子の微分方程式を離散化し、その差分方程式の初期値問題の解を、ヤコビの振幅関数を用いて表示した。単振り子は可積分系の代表的な例であり、その離散化は離散可積分系理論において基本的な問題である。峯崎と中村の先行研究 (DOI: 10.1016/S0375-9601(98)00800-7)では単振り子の微分方程式をサインゴルドン方程式の簡約であると見做し、ソリトン理論における双線形化法の手法で離散化したが、本研究では平面弾性曲線と単振り子の関係、すなわち速さ1の平面弾性曲線の接ベクトルの偏角が単振り子の微分方程式にしたがって変化することに着目し、離散微分幾何学の観点から単振り子の微分方程式を離散化した。本研究で得られた単振り子の差分方程式はいわゆるQRT写像 (DOI: 10.1016/0167-2789(89)90233-9) の一例となっており、初期値問題を解くことができて、解は“初速度”の大きさに応じて往復運動か倒立運動か回転運動をする。これらの解は、微分方程式の場合の解と違って、どれも一般には周期的にはならないが、往復運動と回転運動の場合には差分間隔をうまくとることによって解を周期的にすることができる。本年度は、このほか、引き続き離散キルヒホフ弾性棒について調べ、とくに離散渦糸方程式の明示公式 (DOI: 10.1093/integr/xyz003) との関係に注目して、楕円テータ関数を用いて離散キルヒホフ弾性棒の物質枠の明示公式を導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平面弾性曲線が単振り子の運動と関係しているように、弾性棒はラグランジュのこまと密接に関わっている。この関係を利用してラグランジュのこまを離散化し(ここまでは先行研究で既知)、楕円テータ関数を用いて明示公式を構成する。
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Causes of Carryover |
初年度に国際会議出席のための旅費が嵩んだ影響により、今年度購入を予定していたコンピューターが買えなくなったため、助成金の一部を次年度に繰り越し、次年度分の助成金と合わせて、次年度に当該物品を購入する。
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