2023 Fiscal Year Research-status Report
ブレイドシステムのHurwitz同値不変量の列の構成と曲面ブレイドへの応用
Project/Area Number |
19K03508
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢口 義朗 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90613018)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブレイド群 / 対称群 / Hurwitz作用 / 単純ブレイド / 単純曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1次元の)組み紐群の直積への Hurwitz 作用の軌道分解は,曲面組み紐(2次元の組み紐)の完全な分類へ繋がることが知られており,これを用いて曲面絡み目(2次元の絡み目)の不変量を構成することが期待されている。しかし,組み紐群の直積への Hurwitz 軌道分解は非常に難しい。 本研究の目的の核となる部分は(これまでも今後も),組み紐群からの(別の)群への準同型の像の直積を Hurwitz 作用で軌道分解し,曲面組み紐不変量と曲面絡み目不変量を構成することである。2023年度は,主に2022年までに得られた結果について整理し(まとめを行い),論文を執筆することに時間を費やした。具体的には,次の(1),(2)の状況であることを報告する: (1) 4次の対称群の直積への Hurwitz 作用について,特に,長さ4の巡回置換のみを並べてできる組の集合を Hurwitz 作用で軌道分解した結果について,論文執筆を進めてきた。(2024年5月現在も執筆中である。なお,長さ3の巡回置換のみを並べてできる組の集合を Hurwitz 軌道分解した結果についても来年度執筆を進めていく。) (2) コード(点付き円板内の単純曲線)たちのホモトピー類の組の集合(自由群の直積のある部分集合)を Hurwitz 作用で軌道分解することは,゛単純な”曲面組み紐の完全な分類へ繋がることが知られている。単純な曲面組み紐の同値類の代数的表示をモチベーションとして,2022年度までに群馬大学の山本亮介氏と共同で,コードの連結成分数を求めるアルゴリズムを開発した。2023年度はこれについての結果を論文として投稿できる形にすることができた。(2024年5月現在,原稿を海外の雑誌に投稿中である。)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究業績の概要」で記した通り,2023年度は主にこれまでの研究結果を論文にまとめることに時間を費やした。具体的には, (1)「4次の対称群の長さ4の巡回置換の組全体の Hurwitz 軌道分解」,および (2)「コードの連結成分をその行列表示から求めるアルゴリズム構成」 について論文執筆を大きく進行させたこと(特に「2」は海外の雑誌に投稿できる形に仕上げたこと)は,報告者自身に一定評価が与えられてよいと考える。 しかし一方,当該年度においては(論文にまとめる前の段階でも),新しい結果の質量について,報告者自身は満足なものとは考えない。 以上のことから,2023年度の区分は「(3)やや遅れている」を選択する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のテーマ「組み紐群の直積への Hurwitz 作用の研究」について,2023年度までに得られた結果の論文執筆に加えて,今後は次の推進方策をとる: 【1】4次対称群の直積全体を Hurwitz 作用で軌道分解すること(これまでに得た,4次対称群の同じ長さの巡回置換の組における Hurwitz 作用についての研究結果を用いる)。 【2】n次対称群の直積を Hurwitz 作用で軌道分解すること。(n=4の場合の結果を得るために用いた手法を参考にしながらn≧5の場合の未知の結果を得ること。) 【3】これまでに,組み紐群を第1ジョンソン準同型で写した像の直積における Hurwitz 同値不変量を幾つか得てきた。今年度は,この像の直積を Hurwitz 作用で゛完全に”分類する。
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Causes of Carryover |
2020年4月からの新型コロナウイルス感染拡大により,旅費の支出が大幅に減少したため。
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