2020 Fiscal Year Research-status Report
New developments of higher dimensional value distribution theory and the fundamentals of complex analysis in several variables
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19K03511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 潤次郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 名誉教授 (20033920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 解析学 / 高次元値分布理論 / Nevanlinna理論 / 多変数関数論 / 岡理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前より継続して,P. Corvaja (Udine, Italy)およびU. Zannier (E.N.S. Pisa, Italy)と共同で研究をしてきた楕円曲線のLegendre族や(準)アーベル多様体の族空間の正則切断の代数構造(無限遠点を除外すると正則切断は有理切断に帰着し,全ての有理切断はトージョン切断である)および値分布理論的な性質(Picardの大定理型の正則拡張定理など)についての成果がまとまり,雑誌に受理された.この結果で正則切断が特異点を持つ可能性のある点で族に対しある非退化条件が仮定されている.退化している場合が今後の研究課題となる.また2018年に当該研究代表者が発表した,Raynaudの定理(Mannin-Munford予想)の別証明が示唆する,Ax-Lindemann型の定理,順序極小集合理論(o-minimal set theory)および値分布理論の関係について研究を行った.これは難しい課題であるが,新しい興味深い分野で研究を来年度も続ける. 2019年に当該研究代表者が発表した``弱連接定理''を更に深化しそれに基づく岡理論の新らしい入門書を書き上げ,来年度に発刊予定である.これにより,難しいとされてきた岡理論が学部1変数複素解析と同じレベルで講義可能になった.岡理論は専門外,さらには一般社会的にも関心が高く,当該研究成果の社会発信にも大きく資すると期待される.その過程でBochnerの管定理の新証明の発見及び一般化管領域についての新知見を得た.この研究は,来年度へ継続する.また,新岡理論入門書の英語版の出版も今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イタリアの2名との共同研究の成果による論文が受理され2021年度には発表される運びとなった.弱連接定理に基づく「新岡理論入門」がやはり2021年度には出版される計画で目下作業中である.その過程で得られた新知見による新しい研究方向が出てきた.ただし,研究成果の情報発信・研究情報の交換については新型ウイルスの世界感染により,停滞気味である.
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Strategy for Future Research Activity |
高次元値分布理論及び多変数複素解析基礎に関するこれまでの研究をさらに発展する.また,新型ウイルス感染がおさまり国内・国外における研究交流が可能になった時の為に旅費を確保しておく.
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Causes of Carryover |
新型ウイルス感染症の世界的まん延により,研究交流・研究情報の収集,研究成果の発信などをする旅行ができなかった.来年度は,これらがいくらかでもできる情況になればそのために経費を使用する予定である.また,研究成果が反映された書籍の出版が予定されており,それをある程度買い上げて研究成果の発信に利用する予定である.
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Research Products
(7 results)