2021 Fiscal Year Research-status Report
New developments of higher dimensional value distribution theory and the fundamentals of complex analysis in several variables
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19K03511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 潤次郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 名誉教授 (20033920)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 解析学 / 高次元値分布理論 / Nevanlinna理論 / 多変数関数論 / 岡理論 / 超越数論 / 数論的複素幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
値分布理論及び小林双曲性の分野では,相対準アーベル多様体の正則切断についてピカールの大定理をイタリアの Corvaja (Udine),Zannier (Pisa) との共同研究で執筆した論文が出版された. 超越数論における Schanuel 予想の解析関数体版を準アーベル多様体の場合に拡張して新証明を与えると共に関連する整曲線の Nevanlinna 理論を研究し,打ち切りレベル 1 の個数関数による第 2 主要定理を証明した(論文投稿中).これは,形式的解析関数の場合 1972 年に J. Ax が Kolchin の微分体理論を用いて証明していたもので,比較的最近 O-minimal 理論による別証明も出ていた.当研究課題の成果で Nevanlinna 理論と O-minimal 理論が近い関係にあることが示されているので,その観点からの興味が深く,今後の発展が期待される. 本研究課題の共通の基礎をなす岡理論について,歴史的に擬凸問題(レビ問題)を初めて解決した岡潔の1943年日本語未発表論文について考察し,重要な部分の英語訳を含むサーベイ論文が掲載受理された.関連して,本研究課題の成果である「弱連接定理」に基づく多変数関数論の基礎をなす岡理論(いわゆる3 大問題の解決)の新展開による入門書を出版した. 2021年10月30日,函数論シンポジウム(Zoom)において,「解けない問題・気になる問題」と題して講演を行い,現在の研究課題全般についてのサーベイをおこなった.また広く社会一般へ向けて2021年9月18日,日本数学会秋季総合分科会・市民講演会において「数学と言葉 ―岡潔生誕120年によせて」と題し講演を行い,研究成果の発信を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が着実に進行し,研究成果の論文の出版,書籍の出版が順調に成されている.また,当初見えていなかった,解析的 Ax-Schanuel問題に結果を得ている(論文投稿中).新型ウイルスの影響で国際研究集会における研究情報の交換は不満足な状態であるが,Zoomにより最低限の情報発信,研究交換は行われた.この点の改善を期待したい.
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Strategy for Future Research Activity |
解析的 Ax-Schanuel問題研究を更に発展させる.多変数関数論基礎の新展開法を含む入門的書籍の英語・日本語による出版を進める. 新型ウイルスの国際的感染状況の改善とともに,研究成果の世界発信を行う.
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Causes of Carryover |
新型ウイルス感染症の世界的まん延により,研究交流・研究情報の収集,研究成果の発信などをする旅行ができなかった.来年度は,これらがいくらかでも行う計画があり,そのために経費を使用する予定である. また,研究成果が反映された書籍の出版が予定されており,それをある程度買い上げて研究成果の発信に積極的に利用する予定である.
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Research Products
(10 results)