2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03515
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
佐久間 紀佳 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70610187)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自由確率論 / 無限分解可能分布 / レヴィヒンチン表現 / ランダム行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
自由確率論における無限分解可能分布(自由無限分解可能分布と呼ばれる)は確率論における無限分解可能分布との間で全単射をもつ. この全単射は確率論における無限分解可能分布のフーリエ変換に対する解析的表現であるレヴィヒンチン表現における三つ組と自由無限分解可能分布のR変換(自由確率論におけるフーリエ変換のlogの対応物)に対する解析的表現であるレヴィヒンチン表現における三つ組を通して定義でき, Bercovici-Pata全単射と呼ばれる. 確率論において擬無限分解可能分布と呼ばれる無限分解可能分布のレヴィヒンチン表現においてレヴィ測度を符号付き測度まで許した広いクラスが近年議論されている. 本研究課題では自由確率論におけるレヴィヒンチン表現においてレヴィ測度を符号付き測度まで許した広いクラスを自由擬無限分解可能分布として導入し, その性質と例とを考えている. 具体的例としてコーシー分布のF変換について従属操作を考えるArizmendi, Tarrgo, Vargasの研究を応用し, 多くの例を作った. またパラメータの異なる自由ポアソン分布のR変換の差を考え, それに対応する分布が存在するケースを見出した. 分布の性質として, アトムは自由無限分解可能分布のときと同様に自由擬無限分解可能分布も一つしか持たないことを示した. これらを現在執筆しており, 80パーセント程度完成している. またこれらの結果について, 日墨のプロジェクトの準備会, 統計数理研究所の研究会「無限分解可能過程に関連する諸問題」日仏プロジェクトのオンラインワークショップ, 日本数学会の年会で講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
吉田裕亮氏(お茶の水女子大), 長谷部高広氏(北海道大), 堀田一敬氏(山口大), 植田優基氏(北海道教育大)らを招聘・訪問し集中的に議論し, 研究を加速する予定であった. また共著者らが主催する国際研究会に参加するためポーランドを訪問予定であった. しかし, 昨年度はコロナ禍の影響でその招聘・訪問は実現できず, 対面での議論が出来なかったため, その部分の共同研究が遅れている. オンラインミーティング環境を急いで整備し, e-mailやzoomを介して共同研究打ち合わせを継続しているが, そのペースは当初対面を想定していた際に期待していたよりも遅いものとなっている.
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Strategy for Future Research Activity |
早く論文を完成させる研究計画はコロナ禍の状況がどのように変化するかによって大きく変わる. 本年度はできる限り日本国内の研究交流を再開したいと考えている. 状況が許せば次の春以降に海外研究機関を訪問することも視野に入れたいと思っている. それまでの間はコロナ禍と上手に付き合いつつ柔軟な計画を立てて, 国内における共同研究者吉田裕亮氏(お茶の水女子大), 長谷部高広氏(北海道大), 堀田一敬氏(山口大), 植田優基氏(北海道教育大)ら)との研究連携を優先して推進する予定である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で予定していた、北海道への出張およびポーランドでの研究会の参加を取りやめたため. 北海道への出張は今年度夏以降に再調整予定. ポーランドでの研究会は延期のアナウンスがあり, リスケジュールされたものに参加する予定である.
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