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2022 Fiscal Year Research-status Report

レヴィヒンチン型表現からの自由確率論の研究

Research Project

Project/Area Number 19K03515
Research InstitutionNagoya City University

Principal Investigator

佐久間 紀佳  名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70610187)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2024-03-31
Keywords自由確率論 / 無限分解可能分布 / レヴィヒンチン表現 / ランダム行列 / 擬無限分解可能分布 / メキシコ
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題に関わる成果「On freely quasi-infinitely divisible distributions」を改訂した。
特に自由擬無限分解可能分布かつ擬無限分解可能分布になるような例の部分や自由擬無限分解可能分布の性質に関わる部分の改訂を行なった。ブール独立性と呼ばれる非可換確率論におけるテンソル独立、自由独立と並んで重要な独立性の元での自己分解可能性について研究を行なった。ブール自己分解可能分布の概念を導入し、特に正規分布のブール自己分解可能性について調べた。正規分布のブール自己分解可能性は全ての正規分布については言えず、ある分散/平均の値を境目にその様子が変わることが判明した。一方でブール自己分解可能分布の確率分布の性質は自由自己分解可能分布と比較的似ていることもわかった。結果として自己分解可能分布、自由自己分解可能分布、ブール自己分解可能分布と三つの自己分解可能分布のクラスの性質がそれぞれを比較しながらかなり整理された。
令和4年度はメキシコCIMATでメキシコ人研究協力者Arizmendi、大阪大学矢野孝次、Jose-Luis Perezらとレヴィ過程、無限分解可能分布などを扱う大規模な日墨確率論研究会を開いた。そこで非可換確率論における自己分解可能分布について発表を行なった。
また確率論シンポジウムで非可換確率論における自己分解可能分布についての講演を行い、日本語でのまとめを執筆した。本研究課題を進める中で、多くの擬無限分解可能分布についての問題点が明らかになった。一方でその攻略方法の新しいアイデアも出てきた。これらについて補助期間を延長し、もう少し検討、整理して次の研究の船出の準備を進めていく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していた自由擬無限分解可能分布の導入と例の構成は思うようにある程度進行した。特に懸案だった初期論文の改訂も進んだ。大きな点では自由擬無限分解可能分布と擬無限分解可能分布双方に対応する分布があるような特性3つ組を見つけることに成功した。これにより当初未解決だったMarek Bozejkoによる問題を肯定的に解決することができた。細かな点では自由ポアソン分布の重ね合わせ(離散分布による複合自由ポアソン分布と言っても良い)を形式的に考えた際、その離散分布を符号付測度に変えた場合の分布の存在範囲について一般論はまだ展開できていないものの、前の未解決だった部分を組み合わせ論的な議論で減らすことができた。
またブーリアン畳み込みについての自己分解可能分布についてはほぼ狙い通りの結果を得ることができた。他方で全ての正規分布がブール自己分解可能になるとは限らないなど、これまで予想していたこととは異なった結果も出てきた。そのため新しい問題が生まれた。また逆に正規分布がブール自己分解可能であることの証明にその判定法定理を構成したため、他の分布でも同様の問題を考えてみて、ブール自己分解可能性が意味するところを深く調べていくことが必要であるとわかった。
これができたら「当初の計画以上」と主張しようと思っていた自由擬無限分解可能分布に対するランダム行列モデルの構成はまだできていない。これは自由擬無限分解可能分布に対する極限定理のようなものが完成できないと従来知られている自由無限分解可能分布のランダム行列の拡張による構成はできない。これは少し難しそうな問題であるので多少実現できる範囲を狭めても違うアイデアから考えていく必要があるだろう、という見立てがたった。

Strategy for Future Research Activity

当初予定していた自由擬無限分解可能分布の導入と例の構成は思うようにある程度進行したため今回の研究で残った課題について進めていく。特に自由擬無限分解可能分布の構成方法について色々新しいアイデアがいくつか生まれた。それらについて一つ一つ検証していくことが次の研究の第一歩となると考えている。 また具体的な場合の計算ができているが一般論が展開できていないものがまだ数多くある。たとえば自由ポアソン分布から作る自由擬無限分解可能分布についてはその存在証明の一般論がまだ構築できていない。確率論におけるポイヤの定理のようなものを見つける必要がある。また自由擬無限分解可能分布と擬無限分解可能分布双方に対応する分布があるような特性3つ組を見つけることに成功した。自由無限分解可能分布と無限分解可能分布の間では極限定理によるそれぞれの対応付けがわかっているが、擬無限分解可能分布レベルでは自由確率論の場合と確率論の場合との対応づけをどうやってすれば良いかがまだ全くわかっていない。言い換えれば形式的に同じ特性3つ組で対応する分布が存在することがわかっているだけである(これだけでも十分に探すのは困難であったが)。この点について考察していく必要がある。このためにはある程度確率論における擬無限分解可能分布についてももう少し深く考察しておく必要があるのではないかと考えている。特に確率過程のレベルでの研究などがその鍵を握っているのではないかと考えている。その意味で最近擬無限分解可能分布と関連付ける確率過程のアイデアquasi-infinitely divisible processesなども現れているのでその考え方がどの程度今後の一般論の展開に使えそうかを検討する。

Causes of Carryover

コロナ禍による影響で予定していた2回の海外出張のうち1回のみしか実施できなかった。また投稿中の論文の査読に時間がかかっており、それに関連する出張予定を遅らせたため。

  • Research Products

    (15 results)

All 2023 2022 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 2 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (1 results) Funded Workshop (3 results)

  • [Int'l Joint Research] CIMAT(メキシコ)

    • Country Name
      MEXICO
    • Counterpart Institution
      CIMAT
  • [Int'l Joint Research] Wroclaw University(ポーランド)

    • Country Name
      POLAND
    • Counterpart Institution
      Wroclaw University
  • [Journal Article] A modified Φ-Sobolev inequality for canonical L?vy processes and its applications2023

    • Author(s)
      Sakuma Noriyoshi、Suzuki Ryoichi
    • Journal Title

      Modern Stochastics: Theory and Applications

      Volume: 10 Pages: 145~173

    • DOI

      10.15559/23-vmsta220

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Rates of convergence in the free central limit theorem2023

    • Author(s)
      Maejima Makoto、Sakuma Noriyoshi
    • Journal Title

      Statistics & Probability Letters

      Volume: 197 Pages: 109802~109802

    • DOI

      10.1016/j.spl.2023.109802

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Selfsimilar Free Additive Processes and Freely Selfdecomposable Distributions2022

    • Author(s)
      Maejima Makoto、Sakuma Noriyoshi
    • Journal Title

      Journal of Theoretical Probability

      Volume: online first Pages: 未定

    • DOI

      10.1007/s10959-022-01227-4

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Functional Equations Solving Initial-Value Problems of Complex Burgers-Type Equations for One-Dimensional Log-Gases2022

    • Author(s)
      Endo Taiki、Chuo University, Japan、Katori Makoto、Sakuma Noriyoshi、Chuo University, Japan、Nagoya City University, Japan
    • Journal Title

      Symmetry, Integrability and Geometry: Methods and Applications

      Volume: 18 Pages: 1-22

    • DOI

      10.3842/SIGMA.2022.049

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 非可換確率論における自己分解可能分布2022

    • Author(s)
      佐久間紀佳
    • Organizer
      確率論シンポジウム(京都大学, ハイブリッド)
  • [Presentation] 非可換確率論からのアウトライヤーへのアプローチ2022

    • Author(s)
      佐久間紀佳
    • Organizer
      思考院セミナー(統計数理研究所, ハイブリッド)
  • [Presentation] Selfsimilar free additive processes and freely selfdecomposable distributions2022

    • Author(s)
      Noriyoshi Sakuma
    • Organizer
      Math-Fi seminar(立命館大学, ハイブリッド)
  • [Presentation] 非可換確率論によるアウトライヤーの考察と行列モデル2022

    • Author(s)
      佐久間紀佳
    • Organizer
      東京確率論セミナー(慶應義塾大学, オンライン)
  • [Presentation] Selfsimilar free additive processes and freely selfdecomposable distributions2022

    • Author(s)
      Noriyoshi Sakuma
    • Organizer
      Seminario Interinstitucional de Matrices Aleatorias SIMA 2022, CIMAT (hybrid conference)
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Remarks] 個人ホームページ

    • URL

      http://nsakuma.com/

  • [Funded Workshop] Mexico-Japan Probability Seminar2022

  • [Funded Workshop] Workshop on Non-commutative Probability2022

  • [Funded Workshop] Seminario Interinstitucional de Matrices Aleatorias SIMA 20222022

URL: 

Published: 2023-12-25  

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