2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on the nuclear dimension of operator algebras
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19K03516
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 康彦 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (70581502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核型次元 / 作用素環 / 分類定理 / KMS-状態 / 非単純 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年に得られた K. Thomsen, G.A. Elliott 氏との共同研究を一般の局所コンパクト空間へ拡張した. 専門的な用語を避け, ごく大雑把にこの拡張を述べると, これまでは有界な空間の上にKMS状態の束を自由に構成する方法を得ていたが, 今回の拡張では非有界な(無限な範囲の)空間上でもKMS-状態の束を構成する事が可能となった. この結果は G.A.Elliott氏との共同研究としてarXivへ公開し, 数学雑誌へ投稿中である.
技術的な事を述べると, 上記の非有界な空間への拡張にはこれまで考えられていた単純な核型作用素環に対する分類理論を適応するだけでは不十分であり, 対応する非単純な核型作用素環の分類理論が要請される. この技術的な困難を克服するため, 当該年度の研究では Rationally AF algebra と名付けた新しい作用素環の概念を導入し, 非単純な Rationally AF algebra に関する分類理論を構築した.単純性という基本条件を仮定しても, 多くの分類可能な核型作用素環がK0-群とK1-群の情報で分類される. 一方で 我々が導入した RAF algebra は非単純の条件下でも K0-群の条件のみで計算可能という利点が得られる. これはKMS状態の研究と核型次元の研究のみならず分類定理自身を拡張する進展といえる.
これらの結果は 上海 Operator Algebras Special Week 2022, 京都大学作用素環セミナーなどで講演し興味深い結果として専門家の支持を得る事ができた. 更に, 2023年1月のRIMS共同研究(グループA型)において当該研究テーマと関連する話題の研究集会を主催し, 分類理論, 群作用, 核型作用素環, 数理物理などの話題を中心に核型次元有限な作用素環の研究を深化させる事ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響下で海外出張に大きな影響が出たものの、オンライン研究集会や頻繁なメールのやり取りにより地域差を超えた形で意見交換を行えた. このことは逆に国際的な共同研究を推進する助けとなり, 大きな共同研究として成果を残す事に至った.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構成が成功したKMS-状態の構造定理をより精密に調べ, これらを更に細分する事を目標とする. 具体的には各KMS-状態により自然に構成される von Neumann 環の因子タイプを調べ, 可能であればIII型の因子環を特徴づけるパラメータが構成方法により, どの程度制御できるのか?という問題を明らかにしたい. この方向性では, 既に II無限型の因子環の構成が得られ, 整った条件下での時間発展が得られた構成方法と共役をのぞいて同値である事が解っている. 今後は当該研究で構成されたKMS-状態から他のタイプの因子環を導出し, その特徴づけを行いたい.
非有界なKMS-状態の束を構成する研究で得られた非単純な作用素環に対する分類定理を一般化したい. 既存の分類定理では, 単純性という基本条件を仮定しても, 多くの分類可能な核型作用素環がK0-群とK1-群やトレースの位置情報で分類される. 一方で 我々が導入した RAF algebra のクラスは非単純の条件下でも K0-群の条件のみで計算可能という不変量を制御する上での利点が多い. しかしこの定理では, 他の不変量が非単純な条件下でどの様に振る舞うかという点が不明瞭である. 非単純核型作用素環の分類理論が自然な動機から要望されるに至ったので, この方向性で RAT, RAH として定義できる作用素環の分類理論へ拡張したい.
当該研究内容について, 7月に中国の河北師範大学で集中講義を予定している. この期間中は連続講義と討論会という長いスケジュールで私の研究内容と問題意識を講演する場が長時間得られている。また, 8月の初めには上海で作用素環論の国際的な研究集会が予定され講演予定である. これらの講演会における意見交換から研究の進展を期待している.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で海外出張が中止となったため. 次年度へ延期されていた海外での国際会議や研究訪問が主な使用目的である. 具体的には 7月, 8月に中国の河北大学と上海において, 当該研究の集中講義と講演による情報交換を予定している. また 9, 10月に開催されるカナダ、トロントでの国際会議へ参加し, 研究に関する情報収集と共著者である G. A. Elliott 氏との研究打ち合わせを計画している. 特に Elliott氏が主催するFields研究所の連続研究集会において他の研究者との共同研究を模索したい. 次年度の使用計画としては, これらの研究集会に参加するための渡航費、滞在費にあてる予定です. その他に, 互いの状況に問題がなければ アメリカ Purdue 大学の M. Dadarlat 氏や, 共同研究者であるイギリス Oxford 大学の S. White 氏, ドイツ Munster 大学の W. Winter 氏の研究室を訪問し, 当該研究における問題点や発展の可能性を議論する計画である.
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Research Products
(6 results)