2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03521
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木村 弘信 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 名誉教授 (40161575)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 超幾何関数 / 行列積分 / holonomic系 / Radon変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標はGauss の超幾何関数とその合流型関数の一般化としてGel’fand と申請者によって導入されたGrassmann 多様体 Gr(2,N) 上の一般超幾何関数の積分表示を行列積分の形で拡張し,これらを統御する holonomicの構築と非線形可積分系との関係を明らかにし,Lie 群論(対称錐の幾何)の視点から特殊関数論を構築することである。 今年度の研究では,本研究の目標のGr(2,N)上の一般超幾何関数の行列積分版を理解するために,Radon変換の視点から行列積分で定義される超幾何関数の研究を行なった.得られた知見は以下の通り.(1)Hermite行列空間上の行列積分として定義されるGauss, Kummer, Bessel, Hermite-Weber, Airy関数については,その微分方程式系がholonomic系であることと解空間の次元が分かっていたが, これらがRadon変換の視点から自然に得られることが分かった.これは一般超幾何関数でいうと Gr(2,4)の場合に対応する.(2) Gr(r,N)でN の任意の分割に対する一般超幾何関数の行列積分版超幾何関数がRadon変換の立場から定義でき,それらの微分方程式やいくつかの変換公式が得られることが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の本研究の計画の目標には到達していないが, Radon変換という新たな視点で研究対象を理解することになったことは, 概ね本研究が順調に進んでいると評価して良い.
|
Strategy for Future Research Activity |
Radon変換の視点から, 行列積分で定義される超幾何関数の研究をさらに深化させたい. 特に関数を特徴付ける微分方程式系がholonomic系であることや, 解空間の次元,解空間の基底の決定が重要である. さらに積分に付随する胃早期化的な問題に取り組みたい.
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延により,研究集会への参加や研究連絡に伴う出張ができなくなり,旅費が全然使用できなかったことが最大の原因である.次年度には状況が改善次第,研究連絡などによる研究の活性化を図るために科学研究費を使用したい.
|