2022 Fiscal Year Research-status Report
開リーマン面のモジュライを用いた多変数関数論の新展開
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19K03522
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
濱野 佐知子 京都産業大学, 理学部, 教授 (10469588)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 解析学 / 複素解析 / 多変数関数論 / 擬凸領域 / リーマン面 / モジュライ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では領域の擬凸性の影響による剛性定理を定式化し、その応用として種数正の開リーマン面の擬凸変動に対する同時一意化定理を改良・拡張することに挑む。本年度得られた研究成果は次の通りである。 1.主関数の変分公式と応用についてまとめた査読付論文が掲載された。 S.Hamano: Variational formulas for principal functions and applications, Advanced Lectures in Mathematics 49: Teichmuller Theory and Grothendieck-Teichmuller Theory (Ed. L.Ji, A.Papadopoulos, W.Su), p.29-50, Higher Education Press, Beijing, 2022. 本論文はサーベイである。山口博史氏は「西野の剛性定理」をファイバーがグリーン関数の存在しない族O_Gに属する開リーマン面の変形族へ拡張できることを証明された。研究代表者はグリーン関数の代わりに、垂直・水平截線領域への等角写像と密接な関係にあるリーマン面上に与えられた特異点・特徴的な境界挙動を持つ調和関(Sarioの主関数)を考察することで、Schifferスパンや調和スパンに対する新たな変分公式を確立し“理想境界が小さいリーマン面の族”の中で一番大きい族O_{AD}に属する単葉型リーマン面の同時一意化を成功した。 2.種数2以上の有限種数標識付き開リーマン面が、ジーゲル上半空間上の点を一意に定めることを明らかにした。また、種数2以上の有限種数標識付き開リーマン面から、同じ種数の閉リーマン面への等角埋め込み全体を考え、その全体がジーゲル上半空間上でどのような集合になっているかを特徴付けた。得られた成果を国内外の研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としている研究の問題点と今後の課題が具体的に明らかになっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
種数2以上の有限種数標識付き開リーマン面の等角埋め込み全体について得られた成果を論文としてまとめる。全空間の擬凸性を反映する良いモジュライを探し出すことで、開リーマン面のモジュライを用いた多変数関数論を展開する。得られた研究成果を国内外の研究集会等で発表することにより、関連する研究者と意見交換し、新しい視点から議論する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響による当初計画の遅延のため次年度使用額が生じた。 得られた研究成果を国内外の研究集会で発表する際の旅費に使用する。
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Research Products
(7 results)