2019 Fiscal Year Research-status Report
正則自己同型群および関連する問題におけるBergman幾何的アプローチ
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19K03527
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
山盛 厚伺 工学院大学, 工学部, 講師 (80807511)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 正則自己同型群 / ベルグマン核 / 双正則写像 / 特殊領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
多変数函数論において「有界性や円型性などの良い条件下で知られている定理は、仮定を弱めると結論はいかに変化するのか?」という問いは基本的であるが、特定の定理に限っても非自明な問いである。 今年度は主に、Bergman幾何的手法を援用して「正則同値問題」に取り組んだ。 本研究を計画した時点で、ベルグマン核から定義される不変関数および、不変集合に着目することで、幾つかの具体例にて正則同値問題を解くことができることを既に確認していた。それらの事例研究から得られた不変関数、不変集合が満たしていると思われる性質についての仮説の証明に成功した。これにより非有界であってもベルグマン核が存在し、ある種の対称性を持つ領域であれば、ベルグマン核の理論から正則同値問題へとアプローチできることが判明した。 また、前年度までの研究費補助金(研究活動スタート支援)17H07092からの一連の研究の結果として、Boas-Fu-Straube, Beberokらの証明したDeflation型恒等式の一般化を得た。 これについて論文を執筆し2018年度末に投稿していたが、2019年度初めに改訂の後、受理された。 研究成果については、複素解析幾何セミナー(東京大)、多変数関数論冬セミナー(東北大)、27th International Conference on Finite or Infinite Dimensional Complex Analysis and Applications(ロシア、クラスノヤルスク)にて研究発表を行なった。 上述の受理された論文の手法から着想を得て、Beberokが得ていたベルグマン核の明示的表示式への別アプローチが出来ることを発見した。これはBeberokのケース以外にもベルグマン核の明示的表示可能な例を与える点で意義深いものと思われる。これについては論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初に立てていたベルグマン核から定義される不変関数、不変集合に関する仮説について、その証明に成功したため。また昨年度末に学術雑誌に投稿していた論文の改訂作業が順調に終わり受理されたため、順調に成果が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの仮説、研究計画の大きな変更の必要がないことが、本年度の研究により明らかになった。特にベルグマン核から定義される不変関数、不変集合についての研究結果は論文の執筆を開始し、2020年度中に学術雑誌へ論文を投稿したいと考えている。また引き続き、この不変量について具体的な事例を多く研究するとともに、重要な例を多く含むHartogs型領域においてこの不変集合の性質について研究を行う。
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Causes of Carryover |
複数の国内外の出張に関して研究集会のオーガナイザーから現地滞在費の援助が得られたため。また出張予定の研究集会が中止となったものもあり残額が生じた。 本報告書執筆時点では不明な点が多い状況であるが、出張等ができる状況になれば情報収集の目的のための研究集会聴講のための旅費に生じた残額をあてたい。
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