2020 Fiscal Year Research-status Report
正則自己同型群および関連する問題におけるBergman幾何的アプローチ
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19K03527
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
山盛 厚伺 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (80807511)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ベルグマン核 / 正則自己同型群 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、コロナ禍の影響により、研究集会などでの研究者との対面での議論の機会がなく、専ら関連論文の調査や、これまでに行った計算の整理などを中心に研究を実施した。 これまでの議論において、ベルグマン核より構成される双正則不変な関数が、正則同値問題に有用であることが明らかになっている。これまでの研究において複素領域の定義がパラメータtに依存するようなケースを具体的事例で考察したところ、tが離散的に動くケースでは、その領域の族における正則同値問題は前述の双正則不変な関数の応用として完全に解けていることが頻繁に見受けられた。一方でパラメータtが連続的に動くようなケースでは、各tについて有限個の例外を除き正則同値問題は解けるという現象が見受けられた。この現象がたまたまこれ迄に考察した具体例で起こったことなのかが、未だ不明であったため、さらなる具体例での調査が必要であると考えた。ベルグマン核関数の理論では、具体的にこの関数が記述できるケースは稀なため、そのような場合に種々の計算を実施することは肝要である。本年度においては、Huo氏が学位論文(2016年)で得ていたベルグマン核の明示公式を用いて、正則同値問題を考察した。上述の双正則不変な関数は行列式を定義に用いるため、計算自体は随所に数式処理ソフト「mathematica」を援用しつつ調査した。扱っている式がかなり複雑なので、最終的な正則同値問題の解決には至っておらず、今後も継続的に調査する。 また、本研究で考察している双正則不変な関数はベルグマン核を導入したStefan Bergman自身も考察しており、これについての論文も数編出版されている。本年度は上述の内容に加え、これら論文の内容の調査をし、本研究に応用できる箇所がないか調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度はコロナ禍の影響により、所属大学における担当講義が遠隔実施になり、講義動画の作成等に多大な時間を要することとなった。このように、研究計画時には予期していなかった状況となり、研究時間が十分に確保できず研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書の執筆時点でも、コロナ禍は依然として続いている。2021年度は、所属大学の講義は対面で実施をしており、2020年度のような研究時間の極端な減少は起こっていない。また仮に講義が遠隔実施と変更になった場合でも昨年度準備したものがあるため、2020年度のような研究時間の確保が極端に困難となる事態に陥ることはないと思われる。2020年度に生じた研究の遅れを取り戻せるように、隙間の時間なども有効活用し、研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、当初旅費として使用する予定であった国内外の研究集会が軒並み対面での実施が中止となったため次年度使用額が生じた。本報告書執筆時にはコロナ禍は依然継続しているが、出張旅費などに使える状況になれば、研究結果の発表や議論のために使用することを予定している。
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