2022 Fiscal Year Research-status Report
正則自己同型群および関連する問題におけるBergman幾何的アプローチ
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19K03527
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
山盛 厚伺 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (80807511)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 正則自己同型群 / Bergman核 / 正則同値問題 / ラインハルト領域 |
Outline of Annual Research Achievements |
正則自己同型群、正則同値問題に対しベルグマン幾何的手法によりアプローチをすることが、本研究の主テーマである。特に、ベルグマン核関数より定義される双正則不変な関数を用いて研究を行った。当該年度においては、前述の双正則不変な関数についてある種の不等式が成立することを、Thullen領域、Fock-Bargmann-Hartogs領域という正則自己同型群、正則同値問題の理論において重要な対象に対して(低次元の場合のみであるが)明らかにした。 この結果で得られた不等式は、当該分野で有名な砂田の定理の系として導出される「2つの有界なラインハルト領域が正則同値であることと線形同値であることが必要十分条件」を小林双曲的とは限らない非有界ラインハルト領域でも、適当なBergman幾何的条件のもとで成立し得ることを示唆するものであるといえる。小林双曲的とは限らない非有界領域においては、正則同値問題は未知な部分もまだ多く、本研究はその一端を明らかにすものであると、位置付けられる。また、本研究を計画した時点において、双正則不変な関数のある点での数値の比較により正則同値問題へアプローチするというアイデアは等質領域に対して使われたアイデアであった。上述の結果は非等質、非有界領域に対してもそのアイデアが有効なケースがあるということを明らかにしていると述べられる。 本研究の延長線上には上述の砂田の定理の系ではなく、元々の砂田の定理自身をも小林双曲的とは限らない非有界ラインハルト領域へ、適当なベルグマン幾何的条件下で一般化することが課題としてあるが、上述の結果はその可能性を示唆しているものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
着実に進展はしており、当初の計画時よりは数は少ないが成果を発表するなどしているが、過去年度までのコロナ禍の影響が残ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究期間を延長しているため、これまでの研究結果を論文にまとめ投稿、出版を目指す。論文執筆は本文章を書いている時点である程度進んでいるため、年度の途中での投稿を予定している。また、本研究で得られた結果を様々な場所で発表し、今後の研究につなげる。また研究内容としては、得られた不等式を得る手段が計算機を援用する計算に依存するものだったため、結果の高次元化に向けてその方法を模索する。
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Causes of Carryover |
研究計画時には研究成果発表や、研究議論等の研究活動のための旅費として使用する予定であったが、コロナ禍によりオンライン開催のみになったり、海外出張が困難になったため。
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