2023 Fiscal Year Research-status Report
正則自己同型群および関連する問題におけるBergman幾何的アプローチ
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19K03527
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
山盛 厚伺 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (80807511)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ベルグマン核関数 / 正則自己同型群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ベルグマン核関数と正則自己同型群及びその相互関係に注目して研究をおこなっている。東アジアの多変数函数論の若手の交流を目的とした国際研究集会が10年前程から継続して行われている、当該年度も釜山においてこの研究集会が8月に開催され、そのオーガナイザーとして参加した。 本研究集会中にPark氏によるシリンダー型領域の共通部分として定義される複素領域に対するBergman核の明示的公式の講演があった。この講演に着想を得て、Fock-Bargmann-Hartogs型のシリンダー型領域の共通部分のBergman核を考察し、具体的計算が難しいとされるBergman核の明示的公式を新たに発見することが出来た。またこの公式の応用として当該領域のBergman核の零点の有無を問う、Lu Qi-Keng問題を考察しこの領域ではLu Qi-Keng領域であること、すなわち零点を持たないことを証明することが出来た。本研究結果は論文として執筆済みであり、現在査読中である。 また、上記の結果の他にKaup-Upmeier型の定理をBergman核の理論により証明するというテーマについても研究した。この定理は有界領域である種の対称性を持つ領域の間に双正則な写像があれば、線形同値になるということを述べている定理である。この定理において有界という条件を除いてもBergman核関数の理論の観点から「良い条件」を満たしていれば、 Kaup-Upmeierの定理と同じ結論が得られることを証明した。特に具体例としてFock-Bargmann-Hartogs領域の低次元の例が、実際にこの結果の具体例になっていることも併せて証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一時はコロナ禍により研究が当初の予定から遅れていたことは否めないが、研究結果を出し論文執筆の状況まで到達できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたKaup-Upmeier型定理の結果については本報告書執を書いている時点で論文執筆がある程度進んでいるが、これを投稿することをまず優先して行う。また研究実績の概要欄の研究を実施している際にガンマ関数に関する等式をBergman核関数の理論から組織的に作る方法を発見した。これについては、おおよその証明の道筋はチェックしているがテクニカルな部分で詳細を詰め切れていない。この詳細を確認し、論文執筆し投稿まで今年度のできるだけ早い時期に持っていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により過去年度に出張予定だったものが軒並み遠隔開催になり、それが影響して当該年度まで使用額が残った。現在では多くの研究集会が対面となっているため出張旅費として残額は使用する予定である。
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