2019 Fiscal Year Research-status Report
Koornwinder多項式の退化隣接関係と安定性の解析・明示公式の構成
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19K03530
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
星野 歩 広島工業大学, 工学部, 准教授 (30598280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 潤一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (20272536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Koornwinder多項式 / Pieri公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の先行研究により,BC型Koornwinder多項式P(a,b,c,d|q,t)の超幾何級数的な明示公式は,一行型の重みを持つものについては,ある生成母関数の展開係数として定まる対称Laurent多項式G(x)を用いて構成され,一列型の重みを持つものについては,同様にして定まる対称Laurent多項式E(x)を用いて構成されることが分かっている. 一般の重みをもつKoornwinder多項式の明示公式の構成のため,現在,具体例のデータを収集しているが,計算機にかかる負荷が大きいためパラメタや重みを特殊化した多項式についてまず調べる必要があると考えている. 2019年度は,主にBC型Koornwinder多項式をC型的に退化させたKoornwinder多項式P(a,-a,c,-c|q,t)を扱うこととし,次の2つの明示公式の予想式を構成した: (1)鉤型の重みを持つツイストされたC型Macdonald多項式P(t^1/2,-t^1/2,(qt)^1/2,-(qt)^1/2|q,t)を,G(x)とE(x)の積で展開した展開係数の因子化された有理式での記述. (2)(Pieri公式) 一行型と一列型のP(a,-a,c,-c|q,t)の積を,鉤型の重みを持つP(a,-a,c,-c|q,t)で展開した展開係数の因子化された有理式での記述. 特に(2)が証明されれば,帰納的に鉤型の重みを持つC型的に退化させたKoornwinder多項式の明示公式が得られることに注意する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究では,一行型と一列型の重みを持つBC型Koornwinder多項式の明示公式を構成し,また,一列型については,退化隣接関係と安定性という2つの構造を持つことが示されている.本研究ではその継続として,まず二行型や二列型の多項式について明示公式やその構造を解明することが目標である.二行型と二列型の最も基本的な場合は,それぞれに1つ重みを増やした鉤型の場合である.よって今年度は,一般の鉤型の重みを持つKoornwinder多項式に着目し,特に先行研究で扱ったC型的に退化させたKoornwinder多項式を扱った.今年度得られた予想式を証明することが,一般の重みを持つKoornwinder多項式の明示公式の構成の礎になると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた,鉤型の重みを持つC型的に退化させたKoornwinder多項式に関する明示公式の予想式の証明を行う.これは,一行型と一列型のKoornwinder多項式の核関数を同時に扱った核関数関係式を用いることで解決可能だと考えている.その後,鉤型のKoornwinder多項式のPieri公式や明示公式の構成を目指し,二行型や二列型のKoornwinder多項式の明示公式の構成を目指したい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由;(1)新型コロナウイルス感染症による国内外出張の規制のため,予定していた国内外旅費を使用しなかったため.(2)現行のワークステーションのメモリを増設することで必要なデータ収集を実施する予定であったが,計算量の増大により,新たなワークステーションを購入することが望ましく(1)を勘案し,次年度以降の研究費と合算して購入することとしたため
次年度の使用計画;必要なワークステーションを購入し,残額を旅費等に充てる.
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