2020 Fiscal Year Research-status Report
複素解析の視点と数式処理的手法による有理関数の幾何学的性質の研究
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19K03531
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
藤村 雅代 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 准教授 (00531758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 有理関数 / 複素解析 / 数式処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、有理関数を共通キーワードとするいくつかの研究を行うことである。令和2年度には、有理関数の幾何学的な性質を調べることを目的とした次の2つの問題を扱うことを計画していた。 (1) 5次ブラシュケ積が内接楕円を持つ条件を調べるために計算実験を行うこと。 (2) 三角比距離 (triangular ratio metric) に関する共同研究を行うこと。 令和2年度は本研究課題の2年目にあたるため、前年度に行った数式処理システムを用いた実験を継続すると共に、これまでの実験結果を踏まえて数学的な問題への書き換えも行う予定であった。しかしながら、世界的な新型コロナウィルスの流行により緊急事態宣言が発令された影響で、研究室へ立ち入りや計算実験が出来ない期間が生じた。そのため、予定通りに研究を進めることが難しい1年であった。 (1) に関しては、当初の予定の計算実験を行うことが困難であったため、ブラシュケ積に関する別の問題である楕円板の問題に着手した。この問題については、いくつかの仮説を立てるところまで作業が進んだ。すべての場合についての問題解決のため、今年度も引き続き検証作業を継続することとする。 (2) に関しては、海外の共同研究者とネットワークを介して連絡を取り合うことで、順調に研究を進めることができた。三角比距離の一般化となる Barrlund 距離の研究を深めると共に、その研究過程で派生した問題にも取り組むことができた。派生問題に関する結果をまとめて専門誌に投稿した論文が本年度内に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブラシュケ積の幾何学的性質を調べる研究に関しては、新型コロナウィルスの影響で十分な計算実験の時間をとることが出来なかったため、当初の計画とは別の問題を扱うことになった。その問題に対しては、特別な場合についてではあるが仮説を証明することができた。これは、一般の場合の解決に向けての手がかりになるものである。 三角比距離に関する研究については、当初の予定以上に研究を深めることができた。三角比距離の一般化である Barrlund 距離の研究も行い、そこから派生した問題に着手するところまで至った。また、派生問題においては得られた結果をまとめたものを論文誌に投稿し受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
ブラシュケ積の幾何学的性質を調べる研究に関して、まだ検証途中の現象については、追加の計算機実験も行いつつ仮説をたてて証明するという作業を継続していく。三角比距離に関する研究についても、現在進めている国際共同研究を継続すると共に、その過程において派生問題ができればその都度解決に向けて努力をする。
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Causes of Carryover |
旅費について:新型コロナウィルスの流行の影響により、予定していた研究集会・学会の開催が中止もしくはオンライン開催になり、当初予定していた旅費が不要になった。また、同様の理由により出張を伴う研究打ち合わせもできなくなり、旅費全体の支出がゼロとなった。 物品費について:去年度は PC の購入を予定していた。しかしながら、リモートワークの拡大の需要の影響を受けて、部材不足とのことで年度内の購入を断念した。PC については次年度以降に入手が可能になり次第、購入手続きを行う。
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Research Products
(4 results)