2021 Fiscal Year Research-status Report
複素解析の視点と数式処理的手法による有理関数の幾何学的性質の研究
Project/Area Number |
19K03531
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
藤村 雅代 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 教授 (00531758)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 有理関数 / 複素解析 / 数式処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、有理関数を共通のキーワードとしていくつかの複素関数の幾何学的性質を調べることを目的としている。令和3年度も前年度に引き続き、大きく以下の2つの問題を扱った。 (1) 単位円板上でのブラシュケ積が持つ幾何学的性質を、他の領域に拡張する研究: d次有限ブラシュケ積は特別な形をした有理関数である。ブラシュケ積に関して、内部曲線や外部曲線を定義することができる。これらの曲線は数域などの他の数学分野の問題とも関連があることが知られているが、ブラシュケ積は単位円板上の写像であるため、「円」を基準とした性質が基本になる。令和2年度からひき続き楕円板上の写像において同様の問題を扱うことを目標として、計算実験と並行してこれまでの結果をまとめる作業も行ったが、いくつかさらなる検証が必要な部分もあるため、令和4年度もこの問題の研究を継続する。 (2) 三角比距離 (triangular ratio metric) の結果を、光学に応用できる形に拡張する研究: 以前 Vuorinen 氏、Mocanu 氏、Hariri 氏との共同研究として三角比距離と球面鏡の光学問題である Alhazen の問題の関連付けを行い、いくつかの成果を得た。その後、光学の研究者から「楕円面鏡が扱えると応用面で有用である」とのコメントを得て、令和3年度には Vuorinen, Mocanu 両氏と結果を拡張するための研究に着手した。ネットを介したディスカッションを繰り返すことで、楕円面を含む一般化となる成果が得られたため、論文誌へ投稿するに至った。さらに、関連問題の派生問題についても両氏と共同研究を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブラシュケ積に関する研究では、想定している問題の完全解決には至らないものの、一部の場合については実験から得られた現象に対して数学的な解釈を与えることができている。 また、三角比距離に関する研究では、Alhazen の反射問題との関連についての拡張となる成果が得られた。現在は論文誌に投稿中であるが、成果は今後、光学の応用面で使用されることが期待される。また、この研究についてはさらに派生した問題があり、その検証も共同研究として進行中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
ブラシュケ積の幾何学的性質を扱う研究では、当初に想定していた手法が適用できないところがあるため、その部分ではまだ解決に至っていない。そのため、別の手法を模索することと並行して、計算機による実験をやり直すことで見落としている部分がないかを確認する。 三角比距離に関しては、去年度の共同研究中に新たに興味深い問題が派生している。これについてはすでに共同研究がスタートしており、今後も引き続き解決を目指す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行の影響で、定期的に開催されている研究集会・学会が全てオンライン開催になった。また、同じ理由により出張を伴う予定だった研究打ち合わせも全てオンラインで行った。それにより、当初予定していた旅費を使用できなかった。
|
Research Products
(4 results)