2019 Fiscal Year Research-status Report
C*-環とその記号力学系、双曲型力学系の分類、軌道同型の研究への応用
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19K03537
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
松本 健吾 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40241864)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 記号力学系 / 双曲型力学系 / C*-環 / 作用素環 / サブシフト / 位相的マルコフシフト / Cuntz-Krieger algebra |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、東京大学数理科学研究科で行われた作用素環セミナーに2度、京都大学数理解析研究所で行われた作用素環論作用素研究会、神奈川大学で行われた作用素論・作用素環論研究集会、九州大学伊都キャンパスで開催された合同シンポジュウム等に精力的に出席し、作用素環論研究者と研究交流や研究討論が進み、記号力学系や双曲型力学系から作られるC*-環について、その新たな構成方法について大きな知見を得た。結果的に次の6編の論文を作成できた。1.Subshifts, lambda-graph bisystems and C*-algebras, 2.C*-algebras associated with two-sided subshifts, 3. A groupoid approach to C*-algebras associated with lambda-graph systems and continuous orbit equivalence of subshifts, 4. Continuous orbit equivalence of topological Markov shifts and KMS states on Cuntz--Krieger algebras, 5. An etale equivalence relation on a configuration space arising from a subshift and related C*-algebras, 6. Simple purely infinite C*-algebras associated with normal subshifts. 論文による研究発表以外にも、金沢大学における日本数学会での講演、神奈川大学での作用素論・作用素環論研究集会での研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は上記「研究実績の概要」にも書いたように、研究は概ね順調に進捗している。 このうち論文1はJ. Math. Analysis and Applicationsに、3.はDynamical Systemsに、4.はDiscrete and Continuous Dynamical Systemsといった海外の解析学、力学系の専門研究雑誌に掲載が決まっている。また、神奈川大学で行われた作用素論・作用素環論研究集会では、「両側サブシフトからできるC*環について」の表題で1時間講演を行った。金沢大学で行われた日本数学会秋季総合分科会においては「subshifts, lambda-graph systems and their C*-algebras」の表題で講演も行うなど、研究は停滞することなく順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、記号力学系も含めた双曲型力学系について構成されたC*-環を使っての広い範囲での軌道同型類や位相共役類やflow equivalence 類の研究を続行したい。特に一般の記号力学系のflow equivalence 類をC*-環や、その極大可換環を使った特徴づけはたいへん難しく、大変興味深い問題でもあるので、これらを目標に研究を推進したい。マルコフシフトにはならない記号力学系の大切な例にDyck shiftやその一般化であるMarkov-Dyck shiftといった計算機言語に関連する力学系がある。これらのクラスのC*-環による分類、特にそのflow equivalence類のC*-環による分類問題は、Heiderberg 大学のW.Krieger教授と永年にわたり、継続して研究しているテーマでもある。この問題にも取り組んで行きたいと考えている。2020年度上半期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、多くの参加予定であったセミナーや研究集会が中止に追い込まれている、その代わりZoom等を使ったweb遠隔システムによるセミナー等が多く予定されている、これに参加するため、本研究費でノート型パソコン、印刷機、等の研究遂行必要な設備も購入したいと考えている。
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Causes of Carryover |
プリンターを購入予定であったが、雑誌「Ergodic Theory and Dynamical Systems」の価格が当初予定より高騰し、プリンターを購入できなくなったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、次年度にプリンターを購入予定なので、その購入のために使う。
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