2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploring algebraic structures of nonlocal classical integral systems
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19K03550
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
土谷 洋平 神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80460294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非局所可積分系 / 量子群 / 無限次元ハミルトン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループでは、可積分系という分野の発展の方向は、非局所系にあると判断している。そして本研究課題は、そちらの方向に分野が成長していくきっかけを作る具体例を作り、さらに分野を牽引する理論を作ることを目標としている。突破口は、ポアソン代数、量子群、テータ関数であり、これらのキーワードと本課題との深い関連を提示できれば、多くの研究者の興味を引くものと信じている。具体的にには、研究計画のうち、交付申請書で2019-2020年度に実行すると掲げた具体的な内容は次の3点であった。 (1) 非局所可積分系の代表例になると期待される、PILW方程式のn成分版 を発見する。また、すでに先行研究で発見されているgeneralized ILW方程式も、本課題で提案する方法で導き直す。 (2) PILW方程式のテータ関数解を求めるための準備として、2019年度は開リーマン面と無限種数 のリーマン面の解析的理論を学ぶ。 (3) ILW方程式の対称性となるLie代数を特定するために、無限次元リー代数の拡大につ いての最先端の知識を補充する。 結果として、(1)については、PILW方程式のn成分版を発見し、generalized ILW方程式の再構成も行った。現在論文を執筆中である。(2)については、開リーマン面と無限種数 のリーマン面の解析的理論の勉強は、本課題へ応用として期待していたレベルまでは進まなかったが、応用の目標であるPILW方程式のテータ関数解について、種数が3,4の場合で存在を示すことができた。(3)の無限次元Lie代数の拡大および分類理論の勉強は、本課題に応用可能なレベルまでは進まなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書において2019年度に実行すると掲げた具体的な内容は次の2点であった。 (1) 非局所可積分系の代表例になると期待される、PILW方程式のn成分版 を発見する。また、すでに先行研究で発見されているgeneralized ILW方程式も、本課題で提案する方法で導き直す。 (2) PILW方程式のテータ関数解を求めるための準備として、2019年度は開リーマン面と無限種数 のリーマン面の解析的理論を学ぶ。 (3) ILW方程式の対称性となるLie代数を特定するために、無限次元リー代数の拡大につ いての最先端の知識を補充する。 2019年度の結果として、(1)については、n成分版を発見し、generalized ILW方程式の再構成も行った。現在論文を執筆中である。(2)については、開リーマン面と無限種数 のリーマン面の解析的理論の勉強は、本課題へ応用可能なレベルまでは進まなかったが、その後の目標であるPILW方程式のテータ関数解は、種数が3,4の場合で存在を示すことができた。(3)の無限次元Lie代数の拡大および分類理論の勉強は、本課題に応用可能なレベルまでは進まなかった。 (3)が目に見えては進まなかったものの、手応えはあったと感じている。論文が出版されるまでは、まだどこかに誤りがある可能性もあるが、2019年度に得たアイデアが全く無駄になる可能性は少ないため、概ね順調に進展していると判断したい。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の内容下記のように少し変更したい。(1)(2)(3)は交付申請書提出当初の計画を2019年度の成果を踏まえて内容を再掲したものである。それらとは別に、2019年度に、anomalus walkモデルの研究者と交流があった。これらは数学としては本研究課題との関連は未だ見えないものの、非局所的な方程式系である点と、現実問題への応用から派生している点において、本研究の根源的な目的である「人類が制御しうる方程式の数を一つでも増やしていく」という方向への強い魅力を感じると共に、何か関係あるのではないかという嗅覚が働く。無理の無い範囲で(4)を加えた4つの計画を狙いたい。 (1) 2019年度に得たPILWのn成分版 の発見とgeneralized ILWとの関係について2020年度に論文を作成する。 (2) 2020年度にはPILW方程式のテータ関数解を求める。2019年度にはすでに小さい種数でのテータ関数解の存在を確認しているため、その状況を一般化して整理する。 (3) 2020-2021年度にかけて、ILW方程式の対称性となるLie代数を特定する。特に2020年度には無限次元リー代数の拡大につ いての最先端の知識を補充する。 (4) 2020年度にはanomalus walkの周辺知識を勉強する。本計画との関連が見つかれば、2021年度以降、研究を深め、無ければ諦める。 一方、計画の推進手段においては新型コロナウィルス感染症の流行によって、遠隔地の研究者とミーティングが増え、それに伴って手元の数式を見せるための書画カメラが必要となっている。またオンラインミーティングを実施するためのzoomアカウントの購入なども必要になってきている。さらに学会自体がzoom開催されるケースも出てきており、zoomでプレゼンテーションツールやビデオ通信に耐えうるPC環境も必要になってきている。
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Causes of Carryover |
2020年度2月に、本研究課題の直接経費を用いてInstytut Geofizyki Polskiej Akademii Nauk (ポーランド)への出張を行う予定であったが、旅費と日当と宿泊費を先方が負担してくれることになったため、その分支出が少なくなった。また、3月に予定していた学会参加のための国内出張が、新型コロナウィルス感染症の流行によって消滅したため、その分の支出が少なくなった。
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