2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03551
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
矢野 裕子 京都産業大学, 理学部, 教授 (10337462)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 処罰問題 / マルコフ過程 / 拡散過程 / レヴィ過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルコフ過程,特に一次元拡散過程及び一次元レヴィ過程に対する処罰問題を通して,処罰問題の構造,更には確率過程そのものの構造を探ることを目的としている.2019年度は主に,重み汎関数に応じた極限測度に関する研究,特に一次元拡散過程に対し,重み汎関数を最大値過程とする場合の処罰問題の解決に挑んだ.一次元拡散過程に対する処罰問題では,先行研究として,Profetaの結果(2010)やProfeta-Yano-Yanoの結果(2019,下記の1)が知られる. 1.矢野孝次氏(京都大学),Christophe Profeta氏(フランス・イヴリ=ヴァル=デソンヌ大)との共同研究において,Yano-Yanoの研究(2015)で調べた一般の一次元拡散過程に対するランダム時計を用いた原点回避条件付けの拡張として,一次元拡散過程のランダム時計を用いた処罰問題を論じた.本研究成果は過去に得られたものだが,これが研究論文として,J. Math. Soc. Japanに掲載された. 2.矢野氏及びC. Profeta氏との継続している共同研究において,一次元拡散過程に対する処罰問題,重み汎関数がその最大値過程である場合を考察した.Roynette-Vallois-Yorによる初期の研究(2006)でもそうであったように,重み汎関数を局所時間にとる場合と最大値過程にとる場合とではアプローチの方法が異なる.また,Yano-Yano-Yorで行った一次元レヴィ過程に対する研究(2009及び2010)では,重み汎関数の違いで劇的に異なる結果が得られていた.これらの研究蓄積を念頭に置き,重み汎関数を最大値過程にとる場合について,固定時刻の代わりに指数時刻等を用いる処罰問題の研究の解決を試みた.また,極限測度を特徴付けるマルチンゲールについて,併せて研究を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述「研究業績の概要」2の共同研究は,未だ論文公表に至るような成果が得られておらず,現在も継続中である.尚,共同研究を行うメンバー全員がケア世代であり(未就学児の育児に携わっている),更に大学における通常の業務もあるため,問題解決のアイデアはあるが緻密な計算を行うことや議論をするための十分な纏まった時間を取ることが難しい状況にある.このような困難がありながらも地道な成果を着実に得ており,研究の進捗は概ね順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
1.一次元拡散過程の最大値過程に関する処罰問題(上述「研究実績の概要」の2)の解決を目指す.おそらく対面での研究打ち合わせは困難なことから,出張などは行わず,オンラインでの研究打ち合わせを重ねる予定である. 2.一次元安定過程及び一次元拡散過程に対する滞在時間に関する処罰問題を考察する. 3.処罰問題の極限測度に関する研究を開始する.これまでに得られた処罰問題の極限測度について,分類等を検討する.
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Causes of Carryover |
前年度はほぼ計画通りの予算執行であり,残額は僅かであったため,次年度分と合わせて物品費(書籍購入)等に充てる予定である.
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