2023 Fiscal Year Annual Research Report
マルコフ過程の経路及びその加法汎関数の大域的性質とその安定性
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19K03552
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
上村 稔大 関西大学, システム理工学部, 教授 (30285332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富崎 松代 奈良女子大学, その他部局等, 名誉教授 (50093977)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディリクレ形式 / マルコフ過程 / ソボレフ空間 / 飛躍型マルコフ過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
原点で特異性をもつ,あるいは退化するLevy密度をもつ飛躍型の対称なα安定型過程について引き続いて検討を行った.特に,Levy密度が原点で特異性をもつ(原点でベータの位数で発散あるいは退化する)ときに,対応するマルコフ過程の経路が原点付近から脱出する時間の期待値の上からの評価をαとβを用いて導出することができた.特に,退化する場合は,経路は原点に引き寄せられると考えられるためβの(マイナスの符号の)位数で押しとどめられる.逆に,原点で発散する場合は,経路は原点から素早く離れようとすると考えられるためβの(プラスの符号の)位数で原点から推進して離れようとする力が働くことがわかった.一方,そもそも原点への到達確率については,到達しない(到達する確率が零となる)ことが,α及びβだけでなく,マルコフ過程の状態空間の次元にも依存することもわかった.なお,原点で発散する場合については,原点に到達する可能性が十分にあるが,それを定量的に評価するところまでは進めることができなかった. 関連すると話題として,マルコフ過程の生成作用素,あるいは対応するディリクレ形式の定義域についても検討を行った.特に,2階の楕円型偏微分作用素に,飛躍型作用素と呼ばれる特異積分作用素を付け加えた作用素の定義域が,特異積分作用素を定めるLevy密度に一定の条件を置くことで,1位のソボレフ空間と一致することが分かった.従って,状態空間の領域が有界であれば,対応する半群がコンパクト作用素となることを示すことができた.これは,2023年12月に熊本で開催された確率論セミナーにおいて発表した.
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