2019 Fiscal Year Research-status Report
Surface waves in anisotropic elasticity and piezoelectricity, asymptotic analysis and inverse problems
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19K03559
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田沼 一実 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60217156)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 圧電体 / 非等方弾性体 / 表面波 / Bleustein-Gulyaev波 / 摂動 / 位相速度 / Stroh formalism / 逆問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
圧電体方程式は,弾性・圧電・誘電テンソルを係数にもつ4つの方程式の連立系となり,非等方弾性体方程式と比べて複雑であるが,弾性場と電場との相互作用をもたらす圧電効果ゆえ,圧電材料の開発等に応用は広い.圧電体が横等方性を有するとき,Bleustein-Gulyaev表面波(BG波)が存在するが,その伝播速度は圧電テンソルの1成分のみに依存するため,BG波が有する圧電パラメターに関する情報は少ないといえる.そのため,表面波の観測から未知の圧電パラメターを決定する逆問題の立場からは,BG波は使いにくい.そこで本研究では順問題解析の立場から,圧電・弾性・誘電テンソルが横等方な状態から任意の非等方な状態に摂動した場合に,表面波速度がBG波速度からどのように変化するかを,一次摂動公式にて表現した.以上の結果は,これまで系統的研究がほとんどなされていなかった圧電体における表面波の数学解析により,各テンソルの成分ごとの表面波挙動への寄与について明確な数学表現を与え,逆問題解析に進展させる点に今後意義が期待される.概略を国際会議のproceedingsに投稿したところ,掲載が認められた.なお,圧電体における表面波速度の摂動を考察する際,表面波の存在を前提としている.その存在はStroh formalismの拡張において,Barnett-Lotheテンソルと呼ばれる行列と,その速度微分との定値性(正定値性または負定値性)より導かれる.従来,圧電体についてこの定値性の証明は,Lagrangianと内部エネルギーの関係をもちいた間接的な方法に依っていた.研究代表者は,弾性テンソルと誘電テンソルの正定値性のみをもちいた直接的な方法で,前述の定値性の証明に成功するとともに,間接的な証明では見落とされていた,表面波存在のための圧電テンソルの条件を指摘した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧電体における表面波速度の摂動公式を求める際,大前提となる表面波の存在について,圧電体に付随する材料テンソルの正定値性のみを使って証明できたことは意義が大きい.一方,非等方弾性体の表面波であるRayleigh波の,境界における伝播方向と法線方向の成分比polarization ratioの摂動公式について,結果を投稿中であるが,査読の大幅な遅れにより掲載が未定である.
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Strategy for Future Research Activity |
圧電体における表面波速度の一次摂動公式とその証明,および表面波存在のための基礎となるBarnett Lotheテンソルとその速度微分の定値性の証明を含めた論考を早急に完成させる.非等方弾性体におけるRayleigh波のpolarization ratioについて,弾性体の非斉次性(不均質性,空間依存性)と非等方性が及ぼす分散現象の数学解析に,取り組みを開始する.
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Causes of Carryover |
COVID-19による世界的な感染症拡大にともない,3月に予定していた海外共同研究者の訪問(アメリカ合衆国)を取り止めた.次年度以降,海外渡航が可能となり次第,訪問を予定している.
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