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2023 Fiscal Year Research-status Report

発展方程式の形状と解の時空間構造の相関について

Research Project

Project/Area Number 19K03560
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

山本 征法  新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00600066)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
Keywords函数方程式 / 拡散方程式 / 時間大域挙動 / 空間大域挙動 / 特異積分作用素
Outline of Annual Research Achievements

当該計画では、非線形発展方程式中に含まれる空間非局所作用素をはじめとした特徴的な形状が、解の構造に及ぼす影響を研究した。一般に、空間非局所作用素を含む方程式については、その基本解の空間構造に、作用素由来の特徴が現れる。これらの特徴は、作用素のFourier像の周波数に応じた成分を調べることによりある程度予想することができる。例えば、分数冪ラプラシアンやRiesz変換のFourier像はいずれも特異性を持つ多項式であるが、これらを含む方程式の解は、空間遠方でゆっくりした減衰を示す。当該研究では大きく以下の2つの観点から、作用素の特徴が解の構造に及ぼす影響を調べた:
1) 線形の拡散に含まれる非局所性が非線形の外力にどのように影響するか
2) 非線形外力に非局所性が直接現れる場合、外力と線形の拡散のどちらがより支配的か
これらを明らかにするため、当該研究ではそれぞれの解の時空間漸近構造を調べた。1)を明らかにするために採用したのは、分数冪ラプラシアンによる拡散とスケーリング構造を持つ半線形方程式である。また、2)の枠組みに含まれる有名なモデルとしては、非圧縮性粘性流体の流速を与えるNavier--Stokes方程式が挙げられる。
まず1)については、線形の拡散と非線形外力の強弱が入れ替わるスケール臨界の周辺を調べることが重要であるが、非線形項の形状によっては、いずれのスケールにおいても線形の拡散が支配的になり得るという予想外の結果が得られた。2)については、Navier--Stokes流について空間遠方での流速の時間発展を明らかにした。Navier--Stokes流の高次漸近展開を導出する際には、上述の空間遠方での減衰の遅さが宿命的な近似精度の限界をもたらすが、本研究では渦度によって定まる量を補助的に用いてこの難点を回避した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究期間のかなりの部分が新型感染症による行動制限期間と重なったため、当初は研究の遅延が発生したが、制限の緩和に伴い情報収集の体制を回復することが出来た。特に、研究期間の後期には、研究集会を通した情報収集や、近い分野の研究者と情報交換の機会を多く持つことが出来たため、当初計画通りに研究を進めることができた。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究では、解の時空遠方での挙動を記述するのに具体的な係数を挙げて漸近展開を表記していた。これは解の空間遠方成分の時間発展を正確に表すものであったが、方程式の形状と解の構造との相関を俯瞰するには煩雑なものであった。今後の研究計画は、漸近展開を各項のスケール構造に則して整理することから始めたい。特に、これまでの研究で課していた空間次元の制約を外して、方程式の形状と解構造の相関をより体系的にまとめることを目指す。
一方、これまでに導出した解近似は高精度の物であるが、その係数には解によって決まる量が含まれる。当然のことながら、非線形方程式の解は未知函数であるから、この量も未知なるものである。先行研究の手法に「繰り込み」と呼ばれる手法を組み合わせれば、低階の近似に限って初期データのみによって係数が近似できないかと考えている。これは、従来高階の展開項として具体的に書いていた量を低階近似の誤差項と捉え直せば可能かもしれない。
以上は、時間大域解の時空構造に関する記述であるが、当該研究計画では有限時間爆発解についても取り扱ってきた。特に、線形の拡散と非線形外力とのバランスによって、爆発を引き起こす量と爆発の構造が違うことが知られている。今後の研究計画では、方程式の形状と解の特異点構造の相関関係の視点から、この問題に取り組むつもりである。

Causes of Carryover

研究期間のうち、かなりの部分が新型感染症による自粛期間に重なったため、未使用額が生じた。この未使用額を有効に活用して研究を遂行するために、次年度に繰り越すこととした。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 非圧縮性Navier--Stokes流の空間遠方での時間発展について2023

    • Author(s)
      山本征法
    • Organizer
      日本数学会2023年度秋季総合分科会
  • [Presentation] 非圧縮性Navier--Stokes流の漸近構造の渦度を用いた表現2023

    • Author(s)
      山本征法
    • Organizer
      第16回 実解析と函数解析による微分方程式セミナー
    • Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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