2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K03568
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 逸人 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (70571793)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 大自由度力学系 / 蔵本モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における大自由度力学系の研究において、本年度は同期現象の基本的な数理モデルである蔵本モデルをさらに拡張した2階微分を含む蔵本モデルの解析を行った。これは従来のモデルに物理的な慣性(質量)を含めたモデルである。一例として、質量をもち、互いに相互作用する無数の質点の運動などに応用できる。さらにこれをネットワーク上のダイナミクスに拡張した。これは発電所たちがなすネットワークにおける電流の流れの解析に応用できる。具体的には、非同期状態から同期状態への相転移が起きるための条件、およびその数学的な証明を与えた。その結果の論文は
H.Chiba, G. S. Medvedev, "Stability and bifurcation of mixing in the Kuramoto model with inertia", SIAM J. on Math. Analy. 54, pp. 1797-1819, (2022)
として国際誌に出版された。 本研究者が開発した一般化スペクトル理論を用いて数理モデルの数学的解析を行った。その結果、通常のスペクトルは複素平面上の虚軸に接する剰余スペクトルを持っており、従来の力学系理論では解析不可能であるが、一般化スペクトル理論を用いると剰余スペクトルを超えた解析接続を行うことができ、それにより一般化固有値を見出し、解の安定性や分岐を解析することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2階微分を含む蔵本モデルの解析が予定通りに進展し、論文になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね本研究課題の目的は達成しつつある。しかし2022年度はコロナ関係でいくつかの国際会議に参加できず、海外の研究者との情報交換が行えなかった。2023年度においては可能な限り国際会議に参加し、さらに発展した問題の知見を得たい。
|
Causes of Carryover |
昨年度は予定していたいくつかの国内・国際出張がコロナでキャンセルとなったため、2023年度はその予算で研究成果の発表を行いたい。
|