2020 Fiscal Year Research-status Report

New Development of Geometric and Microlocal Analysis

Research Project

Project/Area Number	19K03569
Research Institution	University of the Ryukyus
Principal Investigator	千原浩之琉球大学, 教育学部, 教授 (70273068)
Project Period (FY)	2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords	X線変換 / ラドン変換 / CTスキャナー / 超局所解析 / フーリエ積分作用素 / 積分幾何学
Outline of Annual Research Achievements	本研究は研究代表者が「積分幾何学の超局所解析、あるいは、幾何学的トモグラフィー」とよぶのが適切かと思われる分野に新規参入して新米研究者として単独で研究活動を行っており、様々なトモグラフィーのモデルに現れる作用素の基礎理論を構築し応用上の計算アルゴリズムの基盤になること、および、積分幾何学に現れるフーリエ積分作用素の解析を通じて基礎理論を純粋数学あるいは応用数学へ発展させることを目指している。 2020年度の具体的成果は、2019年度に投稿した地震学関連のトモグラフィーの再生公式のある種の精密化や一般化に関する単著論文2編が掲載決定になり1編は出版されもう1編は出版待ち（オンライン出版済み）であること、および、ユークリッド空間上のラドン変換に関して超平面のなすアフィン・グラスマン多様体上にバーグマン変換のような正則フーリエ積分作用素を定義して積分幾何学の超局所解析の今後のささやかな礎になるかもしれない理論を構築したことである（投稿中）。具体的な成果ではないが、本研究の進展に直結する2020年度の活動を述べる。現在進行中なので曖昧に述べるが、ある種のフーリエ積分作用素の主だった物すべてに対して正準関係を計算する方法やその簡便な表現方法を開発することに成功し、これを積極的に応用するための純粋数学や応用数学や応用科学について主要な文献による情報収集を進めている。本研究と関わりのある研究集会などの会合では、超局所解析の使い手である数学者だけでなくCTスキャナー等のアルゴリズムの研究開発に携わる応用数学や応用科学の研究者など様々な背景の様々な分野の研究者が関わることが一般的であり、深層学習等の純粋数学以外の最先端の話題について聴講できる機会が多いが、COVID-19の影響ですべて webinar で実施されたので例年以上に数多くの会合に出席して有益な最新情報の収集ができた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 表面上の研究成果の数だけを見るとそれなりに順調そうに見えなくもなくゆっくりではあるが着実に進歩はしているものの、研究代表者が孤独な新米研究者であるため情報収集や研究活動遂行のための技術の獲得にかなりの時間を使っていて当初の見込みと比べると遅れていると考えている。本研究が関わる研究分野では、高齢の研究者も含めて「超局所解析や幾何解析の比較的高度な数学の使い手であり、トモグラフィー等の医用画像に関連する医工学に対するそれなりの専門知識があり、MATLAB や Julia 言語などをそれなりに使えるある程度の計算機スキルがある」のが標準的になっており、2020年度は研究活動遂行に直接関わる数学のサーベイだけでなく応用よりのトモグラフィーの専門書や webinar 聴講による専門知識獲得や全く利用したことのなかった MATLAB や Julia 言語の修得に相当な時間を使ってしまったが、まだ十分とは言えない。
Strategy for Future Research Activity	最近得られたある種のフーリエ積分作用素の正準関係についての知見を基盤として、最近修得したトモグラフィーの現実的基礎・アルゴリズム・乱れ・データ欠損に関する研究へ発展させるように研究を進めて、質量ともに満足できる研究成果を目指したい。
Causes of Carryover	COVID-19の影響で出張ができなかったので、計算機ソフトウェアの新規購入と維持、および、遠隔対応のための計算機アクセサリ等以外に研究費を必要とすることがなかった。