2019 Fiscal Year Research-status Report
波動方程式に関連する偏微分方程式の解の波面集合の伝播に関する研究
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19K03570
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
伊藤 真吾 北里大学, 一般教育部, 教授 (40548145)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 波面集合 / 波束変換 / 特異性の伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、波動方程式に関連する偏微分方程式の解の波面集合の伝播に関して調べることである。波面集合の考え方はある点の周りにサポートを持つ関数を掛けることによりカットオフしてからフーリエ変換し、変換後の変数に関してその増大度を調べるということである。本研究においては波束変換によって与えられるそれと同値な特徴づけを用いて、特異性の様子を調べることを試みた。 (1)具体的には、ある変数係数の1階双曲型偏微分方程式について研究を行った。考える方程式を波束変換しそれを特性曲線の方法で解くことにより解の表示が得られる。その表示式を用いて、解のソボレフ型波面集合の伝播に関する定理を示す算段であったが、特異性の解析にやや複雑な部分が生じ、未解決な部分が残ってしまった。今年度中に解決するには至らなかったが、いくつかの方針が残されているので、引き続き来年度も継続してこの問題の解決に向けて取り組む予定である(加藤圭一氏、杉山裕介氏との共同研究) (2)上記で利用した波束変換を用いて定義される空間にモジュレーション空間がある。この空間と波束変換による偏微分方程式の解の表示は様々な面で相性がよい。この考え方を利用して、高階分散型偏微分方程式の解に関するモジュレーション評価およびストリッカーツ型評価を得ることができた(加藤圭一氏、小林政晴氏との共同研究)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度解決を予定していた問題を全て解決するには至らなかったが、残された部分の具体的な解決策が見えているため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に引き続き、変数係数1階双曲型偏微分方程式の解の特異性伝播に関する研究を行う。その後、零条件を満たす多次元半線形波動方程式系に対するソボレフ型波面集合の伝播の問題の解決に取り組む予定である。そのために、東京理科大学の加藤圭一氏、北海道大学の小林政晴氏との共同研究を行っていく。また、調和解析および偏微分方程式に関する研究集会へは積極的に参加し、必要な情報収集および研究成果の発表に務める予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた研究集会への参加をコロナウイルスの感染拡大防止の観点から取りやめたため次年度使用額が生じてしまった。次年度の旅費の一部として使用する予定である。
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