2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K03572
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
愛木 豊彦 日本女子大学, 理学部, 教授 (90231745)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 弾性体方程式 / 非線形歪み / 解の漸近解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初,コンクリートのような硬い物質を想定して解析を始めたが,スポンジのような多孔性物質はその伸縮により場所ごとに特性が変化するため,このような弾性体物質を非均質領域として着目することにした。また,変位が微小とはいえないスポンジのような弾性体の動きを記述する偏微分方程式に対する研究が十分に進んでいなかったため,まずは弾性体を2次元閉曲線とみなした数理モデルの解析に重点的に取り組んだ。このモデルに現れる非線形歪みから生じる数学的困難を応力関数に特異性を仮定することで克服できた。具体的には,圧縮による歪みに対し下からの評価が得られ,それをもとに数理モデルに対する強解や弱解の存在や一意性等を証明できた。特に,歪みに対する下限の存在は,これまでの弾性体方程式に関する研究では類似の結果は得られておらず,これまでにない成果だと考えている。 以下,最終年度の研究成果を述べる。最終年度の研究課題は,解の時間無限大での挙動の解析であり,そのため時間無限大の挙動の解析に意味を持たせるため,エネルギーの減衰を記述する粘性項を加えたbeam方程式について考察し,次の結果を得ることができた。まずは弱解と強解の双方について,時間に依存しない一様評価を得ることができた。本問題の設定は物質の移動について,摩擦を仮定していないため,初期値によっては物質の重心が等速直線運動によって移動するため,位置が無限大に発散する可能性がある。つまり,一様評価が得られない。そこで,領域の空間座標を重心を原点とする移動座標系に変換することで,解の時間に関する一様な評価を示せた。また,この評価より,解の時間無限大での挙動に関する結果も証明できた。
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