2022 Fiscal Year Annual Research Report
The characterizations of dynamical systems using shadowable measures
Project/Area Number |
19K03578
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
酒井 一博 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (30205702)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 力学系理論 / 擬軌道尾行性 / 尾行可能測度 / 双曲性 / 占有的分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
fを多様体M上の微分同相写像とし,M上の確率測度全体をM(M)とする。f-不変測度全体をM_f(M)で,エルゴード的不変測度全体をM_f~e(M)で表す。本研究ではPS={f:\mu-尾行可能 (任意 \mu \in M(M))}, IS={f:\mu-尾行可能 (任意 \mu \in M_f(M))},そして ES={f:\mu-尾行可能 (任意 \mu \in M_f(M))}を考察対象とし,これらの集合のC~1-位相に関する内点を一様双曲性や非一様双曲性の概念を用いて特徴付ける。 本研究の基盤的研究成果はAxiomsに掲載された。これによりPS, ISのC~1-位相における力学的特徴付けは完了している。従って,「ESの内点に属する微分同写像の特徴付け」と「非一様双曲型力学系への応用」が本研究の主たる目的である。ESの特徴付けについては,S~1上のダンジョワ写像を周期点の近傍に埋め込むことが必要であるが,現時点においても進捗は得られず,下記成果を考慮し,達成率は60%である。 研究計画期間では,研究推進過程において尾行可能測度に関する2つの特筆すべき結果を得ることができた。1つは擬軌道の集合の尾行可能測度による量的評価である(Dynamical Systemsに掲載)。尾行性を持たない力学系に対し,尾行可能な擬軌道についての定量的結果が得られたのは,研究代表者が知る限り世界で最初である。これにより非一様双曲系尾行性理論の新展開に向け一つの示唆を得ることができた。 もう1つは,本研究の礎となった力学系の一般化である(Axiomsに掲載)。Filtrationの概念を利用し,「尾行性は持たないが,M上のルベーグ測度mが尾行可能測度となる」開集合の存在を,C~1微分同相写像の範疇で示した(一般に,力学的性質をルベーグ測度mで量的評価するためにはC~2の仮定が必要である)。
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